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NEJM誌より
80歳以上の高齢者の降圧治療目標は150/80mmHg
脳卒中死亡と全死因死亡が減少―HYVET試験の結果より

 80歳以上の高血圧患者を対象とするHYVET (HYpertension in the Very Elderly Trial)試験の結果、降圧治療群はプラセボ群に比べ、脳卒中死亡と全死因死亡リスクが有意に低下することが示された。英国London大学Imperial CollegeのNigel S. Beckett氏らの報告で、詳細はNEJM誌電子版2008年3月31日に掲載された。

 80歳以上の高血圧患者に対する治療の利益については議論がある。これまで、後ろ向きコホート研究では、80歳以上の高血圧患者で降圧薬を使用しているグループでは、血圧は高めの方が生存期間が長いとの報告があった。一方、無作為化試験の場合、対象に80歳以上が含まれることは希だが、あえて行われたメタ分析では、脳卒中リスクは36%減少する一方で、全死因死亡リスクが14%上昇した(P=0.05)と報告されていた。

 Beckett氏らは、高齢高血圧患者に対する降圧治療の利益とリスクを明らかにすべく、二重盲検の無作為化比較試験を13カ国の195医療機関で行った。

 東欧と西欧、中国、オーストラリア、チュニジアで、80歳以上で持続的な高血圧(収縮期血圧が160mmHg以上)の患者4761人(80~105歳、うち80~84歳が73.0%、85~89歳が22.4%)を登録。心血管疾患歴がある患者は11.8%、糖尿病を合併している患者は6.9%を占めた。

 最初に導入期間を設け、2カ月以上にわたってすべての降圧薬の使用を中止してプラセボのみ投与し、ベースライン特性を評価した。その結果、収縮期血圧が160-199mmHgで他の条件も満たした3845人の患者が本試験に参加した。

 この3845人の患者を利尿薬インダパミド(徐放製剤、1.5mg、1933人)またはプラセボ(1912人)に無作為に割り付けた。目標とする血圧値を150/80mmHgとし、これを達成するために必要であれば、アンジオテンシン変換酵素阻害薬ACE阻害薬)のペリドプリル(2mgまたは4mg)を追加。4mgのペリンドプリルを追加しても座位収縮期血圧が220mmHgまたは拡張期血圧が110mmHg以上の患者は追跡対象から除外した。

 主要エンドポイントはあらゆる(致死的または非致死的)脳卒中(一過性脳虚血発作は含まない)とした。2次エンドポイントは、全死因死亡、心血管死亡、心臓死(心筋梗塞、心不全による死亡と心臓突然死)、脳卒中死亡に設定された。

 治療群とプラセボ群のベースライン特性は同等だった。平均年齢は83.6歳、座位血圧の平均は173.0/90.8mmHgだった。追跡期間の中央値は1.8年。プラセボ群は3964人-年、治療群は4159人-年の追跡となった。

 この試験は、2007年7月に行われた2回目の中間解析の結果に基づいて早期中止された。7399人-年の追跡で得られたデータから、主要エンドポイントに設定された全脳卒中のハザード比が0.59(0.40-0.88、P=0.009)、全死因死亡も0.76(0.62-0.93、P=0.009)と有意な値が示されたためだ。今回の最終分析は、最後の受診日となった2007年10月12日までのデータを加えて、intention-to-treatにより行われた。 

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