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E型肝炎ウイルスも慢性肝炎を引き起こす危険性あり
臓器移植後の急性HEV感染患者の半数以上が慢性化

 E型肝炎ウイルスHEV)は、慢性肝炎を引き起こさないと考えられてきた。ところが臓器移植を受けた後に急性HEV感染と診断された患者14人を追跡した結果、8人で慢性化を認め、免疫不全状態にある患者のHEV感染が慢性肝炎を引き起こす危険性が示された。フランスRangueil病院のNassim Kamar氏らの報告で、詳細はNEJM誌2008年2月21日号に掲載された。

 先進国ではHEVは、野生動物の肉や豚レバーなどを生で食したときに感染する人獣共通感染症とされているが、途上国では、汚染された食物、水などの摂取に起因する大規模な流行が見られている。

 これまで、HEV感染による急性肝炎は時に劇症化するが、慢性化はしないと考えられてきた。また、これまで臓器移植の際にHEVについて十分に考慮されることは少なく、臓器移植患者のHEV感染は3例しか報告されていなかった。

 著者らは、2004年1月1日から2006年12月31日までの間に、肝臓または腎臓、もしくは腎臓と膵臓の移植を受け、術後3~4カ月ごとに行われる定期検診で、肝酵素値の上昇が見られた患者217人についてHEV感染の有無を検査した。HBV、HCV、HDV感染の慢性化が見られる患者と胆管の合併症がある患者、毒物または薬剤関連の肝機能障害の患者は、対象から除外した。

 14人(全体の6.5%、肝移植が3人、腎移植が9人、膵腎移植が2人)で血清HEV RNAが陽性だった。急性症状が現れた患者は7人で、1~2週の間に倦怠感、びまん性関節痛、筋肉痛などを経験した。症候性患者の1人は、症状発現までの1カ月間に顕著な体重減少(約8kg)を見た。発熱した患者はいなかった。

 移植から急性HEV感染診断までの期間は、最短で6カ月、最長で168カ月。診断時の肝酵素値はベースラインに比べ有意に上昇していた。移植後、急性の拒絶反応を示した患者はいなかった。すべての患者が、急性肝炎発症前に6カ月以上、免疫抑制治療を受けていた。肝炎発症前1年間にフランス国外に旅行した患者はいなかった。動物と接触があったのは2人のみでニワトリとウサギ、鳥だった。

 12人から分離したウイルスのPCRによる配列分析に成功した。すべてのウイルスがジェノタイプ3に属していた。

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