日経メディカルのロゴ画像

CABG時のアプロチニン投与は院内死亡を増やす
アミノカプロン酸投与患者に比べ有意に死亡率高い

 アプロチニン(商品名:トラジロール)の使用が死亡率上昇をもたらすことを示唆するエビデンスが蓄積されつつある。米国Harvard大学医学部のSebastian Schneeweiss氏らは、米国の入院患者のデータベースから情報を抽出し、アミノカプロン酸に比べアプロチニンを投与した患者で院内死亡が有意に増加することを明らかにした。詳細はNEJM誌2008年2月21日号に報告された。
 
 アプロチニンは、海外では冠動脈バイパス術CABG)の際の出血を減らし、血小板機能を維持するために用いられてきたが、全死因死亡の増加が示唆され、2007年11月に全世界で市販が一次中止された。著者らは、製造会社のBayer HealthCare社からの要請に基づいて、入院患者情報を対象に後ろ向きの分析を行い、アプロチニンの使用と重篤なイベントの関係を調べた。この論文では院内死亡に焦点を当てた分析を報告した。

 Premier社の「Perspective」比較データベースは、米国の全入院患者の多く(約6人に1人)の記録を登録している。著者らは、2003年4月1日から2006年3月31日の間に、CABG施行日に手術室でアプロチニン(3万3517人)またはアミノカプロン酸(4万4682人)が投与された患者の情報を抽出した。

 多変量解析により院内死亡のオッズ比を求めるために、共変数となる患者の特性と病院、外科医の特性を選んだ。患者の社会人口学的要因(年齢、性別、人種、収入、パートナーの有無、喫煙歴、入院の時期)、予後予測マーカー(緊急入院か待機的入院か、CABG施行日、治療が必要だった血管数、CABG再施行の有無、CABG当日に別の手術が行われたかどうか、CABG前に経皮的冠インターベンションまたは血栓溶解が行われたか、より難しいCABG(緊急入院、再CABG、CABG施行日に別の心臓手術も実施)かどうか)。

 また、患者が慢性疾患(糖尿病、高血圧、肝疾患、慢性閉塞性肺疾患または喘息、癌、心筋梗塞歴、脳卒中歴、心内膜炎、末梢動脈疾患、慢性腎疾患、止血傷害)を持っているかも調べた。その他、CABGが影響を与える可能性がある併存疾患や重症度の指標(狭心症、腎不全、心不全、不整脈、糖尿病、心停止)、CABGの前に用いられる薬剤(ワルファリン、線維素溶解薬、クロピドグレルまたは糖蛋白質IIb/IIIa阻害剤、血漿増量剤、放射性造影剤)の種類も調べた。

 さらに、病院と外科医の特性として、教育病院か否か、病院の所在(米国中西部、北東部、南、西)、地域(都市部か地方か)、病院の規模(床数)、試験期間中に行われたCABGの件数(病院全体と外科医1人当たり)の情報も収集した。

この記事を読んでいる人におすすめ