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腹部大動脈瘤に対する血管内治療は有効
開腹手術に比べ周術期の死亡と合併症が少ない

 腹部大動脈瘤に対する血管内治療の適応が増えている。日常診療を反映する集団を対象に、血管内治療と開腹手術の短期的および長期的なアウトカムを比較した結果、血管内治療の短期的な利益が示された。生存利益については、高齢の患者ほど長く維持された。米国Beth Israel Deaconess医療センターのMarc L. Schermerhorn氏らの報告で、詳細はNEJM誌2008年1月31日号に掲載された。

 1991年に初めて行われた腹部大動脈瘤に対する血管内治療は、2003年には待機的手術の40%以上に適用されるようになった。その有効性を開腹術と比較した無作為化試験では、血管内治療の方が周術期の死亡率と罹病率が低く、回復までの時間も短いことが示されている。

 しかし長期的には、血管内治療後の破裂リスクは高く、再介入の頻度が高まるという懸念もあった。また、無作為化試験は、選ばれた患者を選ばれた施設で治療しているため、得られた結果は一般の患者の臨床転帰を反映していない可能性も指摘されていた。

 そこで著者らは、周術期の死亡と合併症、長期的な生存、破裂、再介入の頻度を比較する集団ベースの研究を設計した。67歳以上のメディケア受給者で腹部大動脈瘤に対する待機的治療を受ける患者6万1598人を2001~2004年に登録。この中から、傾向スコアがマッチする患者を血管内治療適用者と開腹術適用者から2万2830人ずつ選び2005年まで追跡した。患者の平均年齢は76歳、約20%が女性だった。

 周術期の合併症は、以下のように分類しデータを収集した。
・腹部大動脈瘤関連(血管内治療から開腹術に変更、感染グラフト抜去、出血により手術室に再移送)
・血管系または腹部関連(腸管虚血、腸閉塞、腸管切除、血栓塞栓除去、下肢の膝上または膝下での切断)
・内科的(術後心筋梗塞、肺炎、気管切開、腎不全)

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