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ロスバスタチンは収縮期心不全患者の心血管イベント発症を抑制せず
安全性には問題なし、「スタチンのリスクは利益に優る」は間違い?

 左室収縮機能不全が原因で心不全となる患者は少なくない。このような患者に対するスタチン投与はリスクが高いと考えられてきたが、そもそも収縮期心不全患者の心血管イベントの発症を抑制するのだろうか。ノルウェーOslo大学のJohn Kjekshus氏らの報告で、詳細はNEJM誌2007年11月29日号に掲載された。

 一般に収縮期心不全の患者の総コレステロール値は低く、急性冠イベントは多くない。一方、スタチンはコエンザイムQ10とセレンたんぱく質の生合成を阻害し、骨格筋、心筋のミオパシーを引き起こすことが報告されている。そのため収縮期心不全患者の場合には、スタチンのリスクは利益に優ると考えられてきた。

 しかし、収縮期心不全の患者を対象に組み入れた非無作為化試験の中には、スタチンが心不全患者の臨床転帰を向上させるという報告がある。また、小規模試験では、左室機能と臨床状態の改善が示されていた。そこで著者らは、虚血性心不全患者に対するスタチンの利益が理論的リスクを上回るという仮説を立て、その検証を試みた。

 試験は欧州、ロシア、南アフリカの計19カ国371施設で、60歳以上の5011人(平均年齢73歳)を登録。慢性で症候性の収縮期虚血性心不全で、NYHA(New York Heart Association)分類がクラスII、III、IVの患者。いずれも心不全に対する治療は十分に受けており、コレステロール降下薬は必要ないと見なされたが、無作為に10mg/日のロスバスタチン(2514人)またはプラセボ(2497人)に割り付け、中央値32.8カ月まで追跡した。

 主要アウトカム評価指標は複合エンドポイント(心血管死亡、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中)に設定した。2次アウトカムは、全死因死亡、あらゆる冠イベント(突然死、致死的または非致死的心筋梗塞、PCIまたはCABGの実施、埋め込み型除細動器による心室徐細動の実施、心停止後の蘇生、不安定狭心症による入院)、心血管死亡、24時間以上の入院などとした。

 LDL-c値はプラセボ群では変化せず、介入群で低下していた。ベースラインの137mg/dLから3カ月時には76mg/dLとなった(絶対差45.0%、P<0.001)。HDL-c値は介入群で上昇、対照群では変化なし(絶対差5.0%、P<0.001)。トリグリセリド値は治療群で低下、プラセボ群で少し上昇(絶対差20.5%、P<0.001)。高感度C反応性蛋白質値も介入群で低下、ベースラインで3.1mg/L、最終受診時には2.1mg/Lだった。プラセボ群では3.0mg/Lから3.3mg/Lに上昇していた(絶対差37.1%、P<0.001)。

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