日経メディカルのロゴ画像

胃癌の術後S-1投与は生存率を高め再発を抑制
日本の109の医療機関が参加したACTS-GCの結果より

 胃癌患者に対する術後補助療法の有効性は、用いた術式によって異なるが、日本では現在、D2リンパ節郭清が標準術式となっている。D2郭清を受けた患者に術後1年間、経口フッ化ピリミジン系抗腫瘍薬S-1を投与した場合と、術後補助療法なしの場合を比較する大規模試験ACTS-GCの結果、S-1投与群で3年時の死亡が32%、再発が38%減少することが明らかになった。北里大学の桜本信一氏らの報告で、詳細はNEJM誌2007年11月1日号に掲載された。

 これまで、胃癌患者を対象にして術後補助療法の有無と臨床転帰の関係を調べた大規模試験はほとんどなかった。S-1(発売:大鵬薬品、TS-1)は、5-FUプロドラッグであるテガフールと、ギメラシル(5-FUの分解を阻害する)、オテラシルカリウム(5-FUの消化器毒性を低減する)の配合薬で、5-FUの効果増強と副作用軽減を目的として開発された。

 ACTS-GCには日本の109の医療機関が参加。対象は、ステージII(T1を除く)、ステージIIIAまたはIIIBの胃癌で、肝臓、腹膜への転移と遠隔転移がなく、腹腔内遊離癌細胞陰性の患者(20~80歳)。D2以上のリンパ節郭清を伴う治癒切除術を受けた1059人を術後6週間以内に登録、無作為に手術のみ(530人)、または、術後にS-1を用いた補助療法を適用(529人)に割り付けた。

 S-1群には、術後6週間以内にS-1投与を開始(4週間継続投与し2週間休薬する6週間サイクル)し、術後1年間継続。用量は、体表面積が1.25平方メートル未満の患者は80mg/平方メートル/日、1.25平方メートル以上1.5平方メートル未満の患者は100mg/平方メートル/日、1.5平方メートル以上の患者には120mg/平方メートル/日とした。

 主要エンドポイントは全生存期間、2次エンドポイントは無再発生存期間と安全性に設定した。

 試験は5年間の前向き追跡が予定されていたが、データ安全性監視委員会からの勧告を受けて早期に中止された。最後の患者の登録から1年の時点で行われた初回の中間解析(2005年12月までに提出された症例報告に基づく)により、追跡期間の中央値2.0年の時点でS-1群の全生存率は手術単独群に比べ有意に高く(P=0.002)、無再発生存もS-1群で有意に良好(P<0.001)であることが示されたためだ。

 S-1群の患者のうち12カ月の治療を完了したのは65.8%。うち46.5%の患者で用量削減が行われた。治療中止の理由として最も多かったのは有害事象だった。

この記事を読んでいる人におすすめ