日経メディカルのロゴ画像

Lancet誌から
アモキシシリンは肺炎のない小児の下気道感染症に利益無し
英国のプライマリ・ケア施設を受診した小児432人のランダム化比較試験

 英国Southampton大学のPaul Little氏らは、プライマリ・ケアを受診した下気道感染症の小児患者を対象に、アモキシシリンの症状軽減効果を検討するランダム化比較試験ARTIC PCを行い、合併症のない小児では抗菌薬を使用しても臨床的な効果が見られなかったと報告した。結果は2021年9月22日のLancet誌電子版に掲載された。

 抗菌薬耐性は、世界的に公衆衛生上の問題となっている。英国でも下気道感染症の小児患者には抗菌薬が処方される場合が非常に多いが、小児患者全体または重要なサブグループに対する抗菌薬の有効性を示したエビデンスは、ほとんど無かった。

 著者らはARTIC PC試験で、プライマリ・ケアを受診した、肺炎ではない下気道感染症(急性の咳を主な症状とする)で、合併症は無い小児患者に対するアモキシシリンの投与が、症状が持続する期間を短縮できるかどうかを検討した。抗菌薬としてアモキシシリンを選択したのは、下気道感染症に対する第1選択となっているからだ。

 ARTIC PC試験はプラセボを対照群にした二重盲検のランダム化比較試験で、イングランドにある56カ所のプライマリ・ケア施設で行われた。組み入れ対象は、生後6カ月から12歳までの合併症の無い急性下気道感染症の患者で、肺炎は臨床的に疑われず、原因は感染症であると判断され、発症から21日未満の小児とした。感染症ではない患者(喘息や花粉症のみ)、明らかにウイルス感染が疑われる患者、免疫抑制状態の患者、過去30日以内に抗菌薬を使用した患者は組み入れから除外した。ちなみに肺炎が疑われる重症患者は、本件とは別の観察研究に組み入れている。

 条件を満たした患者は1対1の割合で、アモキシシリンまたはプラセボに割り付けた。用量は1日に50mg/kgとし、3回に分けて7日間経口投与した。除菌を達成するには、最少発育阻止濃度を超える血中濃度を5日以上保つことを想定した。

 プライマリ・ケア医は、症例報告フォームに必要な情報を記載した。併存疾患、臨床徴候、保護者が報告した個々の症状の重症度(問題なし、軽症、中等症、重症)、過去1年間の気道感染症歴などを記録した。咽頭ぬぐい液を採取し、マルチプレックスPCRを用いて病原体を検出した。

 保護者には、小児の症状と活動に関する日記を最短でも1週間記録してもらい、症状が長期間持続する場合は4週後まで続けてもらった。咳、痰、息切れ、喘鳴、鼻閉または鼻汁、睡眠障害、全般的体調不良、発熱、通常の活動ができない、といった個々の症状について、問題なし=0から、わずかな問題=1、軽い問題=2、やや悪い=3、悪い=4、非常に悪い=5、最悪=6の7段階での評価を依頼した。

 有効性の主要評価項目は、症状が回復するか28日後までの、7段階の3「やや悪い」よりも重い状態の症状が持続した日数に設定した。副次評価項目は、7段階で評価された個々の症状の重症度、すべての症状がスコア2以下になるまでの期間や、有害事象(下痢、発疹、悪心を含む)、医療リソースの利用などに設定した。有効性と安全性はintention-to-treat分析した。

この記事を読んでいる人におすすめ