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Lancet Healthy Longevity誌から
2型糖尿病患者の晩年に血糖降下薬を中止する傾向強まる
80歳以上で死亡したデンマークの2型糖尿病患者の処方記録を照合した研究

 デンマークSteno Diabetes Center CopenhagenのVanja Kosjerina氏らは、同国の糖尿病患者登録を用いて、2006~18年の間に年齢80歳以上で死亡した2型糖尿病患者に対する血糖降下薬の処方記録を調べ、亡くなる前10年間の処方中止状況を分析した。結果は2021年8月12日のLancet Healthy Longevity誌電子版に掲載された。

 デンマークでは、2017年の調査で80歳男性の19%と80歳女性の16%が2型糖尿病患者であり、今後も高齢者の有病率が増えると予想されている。2型糖尿病の治療の目的は、高血糖の症状を減らし、合併症のリスクを減らし、死亡を防ぐことだが、75歳を超えた高齢者の治療選択に関するエビデンスはわずかだ。現在の血糖コントロールの目標は、大血管や微少血管の合併症を防ぐことだが、臨床試験のデータがあるのはより若い世代が中心で、高齢者にも当てはめるのは適切ではない可能性がある。

 高齢者では若い人より平均余命が短くなり、低血糖を起こすリスクは高くなる。そのため治療の目標は、血糖コントロールそのものよりも、感染や脱水などに伴う不快な症状をできる限り回避することが重視されるようになる。デンマークのガイドラインも、国際的なガイドラインも、高齢の糖尿病患者の血糖コントロールは、より緩やかな、個別化した目標値を設定する必要性を認めている。

 治療戦略の選択肢の1つとして、血糖降下薬の処方中止があげられる。高齢者の場合には、治療を中止しても害は少なく、QOLの向上が期待できる。医療費の削減にも貢献するはずだ。高齢者を対象とする治療中止の安全性と有効性を検討する研究もいくつか行われたが、多くが横断的研究で、規模は小さかった。

 そこで著者らは、高齢の2型糖尿病患者に対する血糖降下薬の処方中止の実状や長期的な変化について検討するために、患者が亡くなる前10年間の血糖降下薬の使用状態を調べて、臨床的、社会経済学的共変数の影響を検討するコホート研究を計画した。

 デンマーク糖尿病登録を用いて、2006年1月1日から2018年12月31日までに、80歳以上で死亡した2型糖尿病患者を選び出した。その上でデンマークの全国処方データベースと照合し、亡くなった患者の生前最後の血糖降下薬処方日を遡って調べ、最終使用日を推定した。分析の対象にした治療薬の種類は、インスリン(速効型、中間型、持続型、混合型)、スルホニル尿素(SU薬)、メトホルミン、DDP-4阻害薬、GLP-1受容体作動薬、SGLT2阻害薬、アカルボース、チアゾリジン薬とした。

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