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Lancet Diabetes & Endocrinology誌から
イマチニブが1型糖尿病患者のβ細胞を保護する可能性
米国とオーストラリアで行われた第2相臨床試験

 米国California大学San Francisco校のStephen E Gitelman氏らは、1型糖尿病患者に対して、慢性骨髄性白血病などに承認されているチロシンキナーゼ阻害薬のイマチニブを投与して安全性と有効性を検討する第2相臨床試験を行い、イマチニブはプラセボにくらべ12カ月後の膵臓β細胞の機能を温存していたと報告した。結果は2021年6月29日のLancet Diabetes and Endocrinology誌電子版に掲載された。

 1型糖尿病は、患者自身の免疫細胞によって膵臓のβ細胞が破壊される疾患だ。利用可能なインスリン製剤の種類は増えているが、急性や慢性の合併症のリスクは高い。そのため、1型糖尿病患者のβ細胞を保護するための免疫療法がいくつも試みられてきたが、インスリン治療に頼らざるを得ないのが現状だ。

 慢性骨髄性白血病の治療に用いられているチロシンキナーゼ阻害薬イマチニブは、自己免疫疾患に関連する代謝経路に作用する可能性が指摘されている。基礎研究から、細胞内小胞体のストレスを緩和し、β細胞のアポトーシスを減少させてインスリン感受性を改善するメカニズムが考えられ、糖尿病のマウスモデルでは発症予防や寛解導入の研究も行われている。関節リウマチなどの自己免疫疾患にイマチニブが有望だという観察研究による症例報告などが増えてきたことから、著者らは米国の8施設とオーストラリアの1施設が参加するプラセボ対照のランダム化比較試験を計画した。

 組み入れ対象は、年齢は18~45歳で1型糖尿病と診断されてから100日未満の患者で、糖尿病関連の自己抗体のいずれか1つ以上が陽性であり、混合食負荷試験(MMTT)におけるCペプチドピーク値が0.2nmol/Lを超えていてβ細胞機能の残存が確認された人とした。慢性の感染症(HIV、ウイルス肝炎、結核など)患者、貧血や血球数減少がある人、肝機能や腎機能障害がある人、妊婦や授乳中の女性、心電図でQT延長が見つかっている人などは除外した。

 条件を満たした参加者は2対1の割合でイマチニブ群とプラセボ群に割り付けた。イマチニブ群には、26週間にわたって100mgを1日4錠服用してもらった。患者には、インスリンを使用して、HbA1cは7.0%以下、食前の血糖値が90~130mg/dL、食後血糖値が180mg/dL未満、就寝時の血糖値が110~150mg/dLを目安として調整するよう指導した。MMTTはベースラインと3、6、12、18、24カ月時点で行い、血糖値、Cペプチド、インスリン値を測定した。

 主要評価項目は、12カ月後に行う4時間MMTTで、イマチニブ群とプラセボ群の当初2時間のCペプチド応答の曲線下面積(AUC)と違いとした。副次評価項目は、12カ月後や24カ月後のCペプチドAUC、インスリン製剤の使用量、低血糖イベント、HbA1c、有害事象などとした。共分散分析(ANCOVA)モデルを用いて、性別、ベースラインの年齢、ベースラインのCペプチド値で調整し、両群間で比較した。

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