日経メディカルのロゴ画像

Lancet誌から
フィルゴチニブは潰瘍性大腸炎の寛解導入と維持に有効
40カ国の医療機関が参加したフェーズ2b/3試験

 カナダWestern大学のBrian G Feagan氏らは、中等症から重症の活動性潰瘍性大腸炎患者にヤヌスキナーゼ1(JAK1)選択的阻害薬であるフィルゴチニブを投与するフェーズ2b/3試験を行い、フィルゴチニブ200mgは寛解導入と寛解維持の両方においてプラセボよりも有意に優れていたと報告した。結果は2021年6月3日のLancet誌電子版に掲載された。

 中等症から重症の潰瘍性大腸炎患者の選択肢としては、ステロイド、免疫抑制薬(チオプリンやシクロスポリンなど)、TNF阻害薬、抗インテグリン抗体製剤(ベドリズマブ)、インターロイキン-12/23p40阻害抗体(ウステキヌマブ)、ヤヌスキナーゼ阻害薬(トファシチニブ)などがある。選択肢は幅広いが、一部の患者は治療に反応せず、徐々に反応しなくなる患者もいる。有害事象による中止も見られることから、さらなる治療の選択肢が求められている。

 経口JAK1選択的阻害薬のフィルゴチニブは、これまでに関節リウマチ、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、クローン病などを対象とする臨床試験が行われている。今回著者らは、中等症から重症の活動性潰瘍性大腸炎患者を対象にフィルゴチニブの安全性と有効性を評価するフェーズ2b/3試験SELECTIONを実施した。この試験は、寛解導入について評価する2件の試験と、寛解維持について評価する1件の試験からなる。日本を含む40カ国の341施設が参加した。

 組み入れ対象は、年齢18~75歳で、少なくとも6カ月以上前に組織学的および内視鏡的に潰瘍性大腸炎と診断された患者。中等症から重症の判定は、Mayo内視鏡所見分類のサブスコアが2以上、直腸出血サブスコアが1以上、便頻度サブスコアが1以上、医師による全般評価サブスコアが2以上、Mayo Clinic Score(MCS)の総スコアが6~12の場合とした。

 該当する患者は、TNF阻害薬とベドリズマブの治療を受けたことがあるかで寛解導入試験のAグループとBグループに分けた。Aは、ステロイドや免疫抑制薬に対する反応が不十分または不忍容だが、TNF阻害薬とベドリズマブは使ったことがない患者を選んだ。Bは、TNF阻害薬やベドリズマブの治療を受けたことがあるが、反応が不十分または不忍容だった患者、または生物学的製剤の使用歴はあるがスクリーニング前の8週間にそれらを使っていない患者とした。JAK阻害薬を使ったことがある患者は、寛解導入試験から除外した。

 試験中に併用を許可されている薬は、5-アミノサリチル酸、アザチオプリン、メルカプトプリン、メトトレキサート、プレドニゾロン、ブデソニドとした。このうちステロイドは第14週から既定のスケジュールに従って徐々に減量することにした。ただし、症状が増悪した場合は研究者の判断により増量できることとした。ただしベースラインを超える用量のステロイドの投与を受けた患者は、治療失敗と判定された。

 条件を満たした患者は、AとBのどちらのグループも2対2対1の割合でランダムに、フィルゴチニブ200mg、フィルゴチニブ100mg、プラセボに割り付けた。割り付け薬は1日1回11週間服用を継続してもらった。寛解導入試験の有効性は第10週に判定し、臨床的寛解と診断されたまたはMCSスコアが改善した(総スコアが2以下で、全てのサブスコアが1以下)患者は、58週間の寛解維持試験に進み、再度2対1の割合でフィルゴチニブとプラセボにランダムに割り付けられた。寛解維持試験でのフィルゴチニブの用量は、導入試験の割り付け用量をそのまま継続した。導入試験でプラセボに割付けられていた患者が寛解と判定された場合は、引き続きプラセボを投与した。10週の判定で寛解を達成できなかった参加者には、長期延長試験SELECTIONLTEに参加する選択肢を提供した。

 主要評価項目は、10週時点と58週時点の、臨床的寛解(Mayo内視鏡分類のスコアが0または1で、直腸出血サブスコアが0、便頻度サブスコアがベースラインから1以上低下して0または1)に設定した。導入試験の有効性の評価は、割り付け薬を1回以上使用したすべての患者を対象に行った。維持試験では、導入試験でフィルゴチニブに割り付けられ、維持試験で、割り付け薬を1回以上使用した患者を評価対象とした。導入試験と維持試験の両方でプラセボを使用した患者は評価から除外した。安全性の評価は、導入試験と維持試験で、割り付け薬を1回以上使用したすべての患者を対象に行った。

この記事を読んでいる人におすすめ