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Lancet誌から
超音波腎デナベーションは難治性高血圧に有望
シャム治療と有効性を比較した米国と欧州のRADIENCE-HTN TRIO試験

 フランスParis大学のMichel Azizi氏らは、利尿薬を含む3種類以上の降圧薬を併用しても降圧目標を達成できない難治性高血圧患者を対象に、超音波腎デナベーションの効果をシャム治療と比較する臨床試験を行い、腎デナベーションを受けた患者は治療から2カ月後の収縮期血圧に有意な降圧効果が得られたと報告した。結果は2021年5月16日のLancet誌電子版に掲載された。

 経カテーテル的に腎臓の遠心性神経と球心性神経を焼灼する腎デナベーション治療が、治療抵抗性の高血圧患者に対する新たな降圧療法として検討されている。2017年以降、高周波または超音波アブレーションによる腎デナベーションとシャム治療の降圧効果を比較した臨床試験がいくつか報告されている。

 その1つがRADIENCE-HTN試験で、登録した患者のうち、軽症から中等症までの患者からなるSOLOコホートに対する超音波腎デナベーションの有効性に関するデータは既に公表されている。治療から2カ月後の時点で、降圧薬の使用を中止していた患者の、自由行動下で測定された昼間の収縮期血圧の低下は、シャム治療群に比べ6.3mmHg大きく、治療の効果は6~12カ月間維持されていた。今回著者らは、RADIENCE-HTNのもう1つのコホートで、より重症の治療抵抗性高血圧患者からなるTRIOコホートにおける超音波デナベーションの有効性と安全性を検討した。

 RADIENCE-HTN TRIO試験は、3次医療を担当している米国の28施設と欧州(フランス、英国、ドイツ、ポーランド、ベルギー、オランダ)の25施設が参加した。組み入れ対象は、年齢18~75歳の難治性高血圧患者で、利尿薬を含む3種類以上の降圧薬を使用しているにもかかわらず、外来での座位血圧測定で140/90mmHg以上であり、推定糸球体濾過量(eGFR)が少なくとも40mL/分/1.73m2以上ある人とした。

 参加者は組み入れ時点で治療薬を変更し、カルシウム拮抗薬、アンジオテンシン受容体拮抗薬、サイアザイド系利尿薬の合剤を1日1錠(原則として、アムロジピン10mg、バルサルタン160mg、ヒドロクロロチアジド25mgの組み合わせ)使用することとし、4週間投与した。これ以外の降圧薬の使用は認めなかったが、例外として、慢性冠症候群または心不全のある患者にはβ遮断薬の使用を許可した。

 4週間の標準治療後に、自由行動下血圧測定で昼間の血圧が135/85mmHg以上だった患者で、CTまたはMRIを用いた血管造影により、解剖学的に腎デナベーションが適応があることが確認された人をランダム割り付けの対象に選んだ。条件を満たした参加者は、1対1の割合で超音波腎デナベーション、またはシャム治療に割り付けた。処置を受ける際に患者は鎮静状態とし、ヘッドホンとアイカバーを使用して周囲の状況を遮蔽した。シャム治療群は血管造影を実施したが、アブレーションは行わなかった。

 参加者は割り付けられた処置を受けた後も、合剤1日1錠の標準治療を継続した。血圧が異常値(外来で180/110mmHg、家庭血圧で170/105mmHg)を超えた場合のみ、スピロノラクトンなどを用いたレスキュー治療を許可した。参加者は月1回受診して評価を受けたが、そのほかに家庭用自動血圧計を渡して、血圧、服薬状況、有害事象について記録してもらった。

 有効性の主要評価項目は、ベースラインから2カ月後までの、昼間の自由行動下収縮期血圧の変化とした。副次評価項目は、ベースラインから2カ月後までの、24時間血圧測定による日中と夜間の収縮期と拡張期血圧の変化とした。そのほかにベースラインから2カ月後までの心拍数の変化、収縮期血圧の5・10・15mmHg低下達成者の割合、eGFRの変化なども評価した。

 安全性の評価として、治療から30日以内の総死亡率、腎不全、塞栓イベント、治療が必要な腎動脈または腎血管合併症、高血圧クリーゼについて評価した。また、治療から6カ月以内の腎動脈狭窄(70%超)の新規発症についても検討した。

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