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Lancet誌から
voclosporinはループス腎炎患者の治療効果を改善する
フェーズ3試験でプラセボ群より腎の完全奏功率が有意に高い

 米国Ohio州立大学のBrad H Rovin氏らは、ループス腎炎を伴う全身性エリテマトーデス患者に、従来の標準的治療に加え新しいカルシニューリン阻害薬のvoclosporinを投与してプラセボと比較するフェーズ3試験(AURORA 1)を行い、voclosporin群はプラセボ群より腎の完全奏功率が有意に高かったと報告した。結果は2021年5月7日にLancet誌電子版に掲載された。

 全身性エリテマトーデス患者がループス腎炎を発症すると、診断から10年以内に約2割の患者が末期腎不全に至るといわれている。ループス腎炎に対する治療の最終目的は、有害事象は最小限に押さえつつ、腎機能を維持しながら死亡率を低下させ、患者のQOLを高めることにある。

 ループス腎炎治療ガイドラインは、治療開始から3カ月以内に尿蛋白を25%以上低下、6カ月以内に50%以上低下、1年以内に尿蛋白/クレアチニン比0.5~0.7mg/mg未満を目指すことを推奨している。しかし、最大で60%の患者が、現在利用可能な治療ではこれを達成できない。ゆえに、早期に効果が見られる有効な治療法が強く求められている。さらに、経口ステロイドの使用を減らせることが望ましい。

 voclosporinは、既存のカルシニューリン阻害薬に比べ、薬物動態学的プロファイルが安定しており、血中グルコースや脂質レベルに対する影響が好ましい、といった利点を持つ。さらにvoclosporinは、標準治療に用いられるミコフェノール酸モフェチル(MMF)の有効成分であるミコフェノール酸の濃度に影響を及ぼさない。フェーズ2試験では、腎反応が完全奏功と見なされた患者の割合を有意に高めることが示されていた。

 今回行われたフェーズ3試験AURORA 1は、ループス腎炎患者に対するvoclosporinの有効性と安全性を評価する目的で、南北アメリカ、欧州、南アフリカ、アジアの27カ国の142施設が参加して実施された。

 組み入れ対象は、米国リウマチ学会の基準に基づいてループス腎炎を伴う全身性エリテマトーデスと診断され、過去2年間に行われた腎生検で、組織分類がクラスIII、IVまたはV(いずれか、またはクラスIII、IVとの複合)であることが明らかになった、活動性(早朝尿の尿蛋白/クレアチニン比が1.5mg/mg以上、クラスVの患者なら2mg/mg以上)の患者。腎生検がスクリーニングの6カ月以上前に行われていた患者については、直近の6カ月間に尿蛋白/クレアチニン比が2倍以上になっていた人を組み入れた。スクリーニング時点で既に、eGFRが45mL/分/1.73m2以下だった人は除外した。

 条件を満たした患者は1対の割合1で、voclosporin群(23.7mgを1日2回経口投与)またはプラセボ群に割り付けて、52週間投与した。参加者は全員、治療開始時に体重に応じたメチルプレドニゾロンの静注を受け、3日目以後は予定されたスケジュールに従って、経口プレドニゾロンの使用量を徐々に減らしていくことを目指した。MMFは1gを1日2回使用した。必要なら医師の判断でMMFは1日最大3gまで増量可能とした。高血圧の治療で、ACE阻害薬またはARBを使用している患者は、試験が終了するまで同じ用量を変更しないこととした。

 主要評価項目は、52週時点で腎反応が完全奏功を示した患者の割合とした。完全奏功は尿蛋白/クレアチニン比が0.5mg/mg以下、腎機能が安定(eGFRが60mL/分/1.73m2以上、またはベースラインから20%を超える低下なし)、ループス腎炎に対するレスキュー薬の使用なし、44週から52週目の評価直前までの期間は、プレドニゾン換算で10mg/日を超えるステロイドを3日以上連続して使用しない、または合計で7日以上使用しない、という条件を全て満たした患者とした。

 副次評価項目は、尿蛋白/クレアチニン比が0.5mg/mg以下になるまでの時間、24週と52週時点での部分奏功率(尿蛋白/クレアチニン比の50%減少の達成)、尿蛋白/クレアチニン比の50%減少の達成までの時間、24週時点での完全奏功達成率などとした。

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