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Lancet誌から
脳梗塞後の腕の機能障害に迷走神経刺激の併用が有効
リハビリとシャム刺激の併用に比べ機能評価スコアの改善度が大きい

 英国Glasgow大学のJesse Dawson氏らは、脳梗塞後に中等症から重症の腕の脱力が持続している患者を対象に、リハビリと迷走神経刺激を併用する場合と、リハビリのみを適用した場合の改善度を調べるランダム化比較試験を行い、迷走神経刺激を併用すると腕の運動機能が大きく改善すると報告した。結果はLancet誌2021年4月24日号に掲載された。

 脳梗塞を起こした後、おおよそ80%の患者が腕の運動機能障害を経験し、半数程度で障害は6カ月以上持続する。脳卒中サバイバーとその介護者は、腕の運動機能を改善する治療を切実に求めている。動物モデルやヒトでの予備的な研究では、リハビリテーションと迷走神経刺激の併用が、脳梗塞後の腕の機能障害改善に役立つことが示唆されていた。そこで著者らは、この治療法の安全性と有効性を明らかにするために、米国と英国の脳卒中リハビリサービス施設19カ所が参加するランダム化比較試験を計画した。

 対象は、年齢が22~80歳の成人で、テント上片側脳梗塞を起こし、Fugl-Meyer Assessment上肢版(FMA-UE)のスコアが20~50に該当する中等症から重症の腕の運動機能の低下があり、脳梗塞の発症からの期間が9カ月~10年までの患者。条件を満たした患者は1対1の割合で、介入群としてリハビリと迷走神経刺激(VNS)を実施するグループと、対照群としてリハビリとシャム刺激を実施するグループにランダムに割り付けた。割り付け時の層別化は、参加国、年齢(30歳以下と30歳超)、FMA-UEスコア(20~35と36~50)について実施した。

 迷走神経刺激デバイス(MicroTransponder社のVivistim System)は、試験参加者全員に麻酔下で埋め込み手術を受けてもらい、動作を確認した。埋め込み手術から1週間後にベースラインの機能評価を行い、翌日から施設内でリハビリテーションを開始した。参加者は6週間にわたって週3回、計18回のリハビリを受けた。リハビリの強度は患者の症状の程度に応じてセラピストが指導した。

 介入群はリハビリで個々の運動を行うたびに、0.8mA(もしくは快適な強度に)、100マイクロ秒、30Hzのパルス刺激を0.5秒間継続した。対照群には0mAのシャム刺激を行った。

 6週間の施設内リハビリを行った後は、セラピストが処方したリハビリプログラムを家庭で始めてもらった。家庭でのリハビリは、1回30分単位で、施設内と同様に続けてもらった。VNSは、患者自身が、施設でのリハビリ時と同様に刺激を送れるよう、マグネットモードに設定した。腕の機能評価は、6週間の施設内リハビリを完了した日と、それから90日後に行った。FMA-UEスコアのほか、Wolf Motor Function Test、Motor Activity Log、Stroke Impact Scale、Stroke Specific Quality of Life、EQ-5D、Beck Depression Inventoryなども用いた。

 主要評価項目は、施設での6週間の治療が完了した翌日のFMA-UEスコアに設定し、ベースラインからの改善度を比較した。副次評価項目は、施設でのリハビリ完了から90日後のFMA-UEスコアの、ベースラインからの変化が臨床的に意義のあるレベル(6ポイント以上)になっていた患者の割合に設定した。

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