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Lancet Rheumatology誌から
腰部椎間板ヘルニアに続発した坐骨神経痛の治療法はステロイド注射か手術か
保存的治療で改善しない場合の第1選択は経椎間孔ステロイド注射か

 英国Walton Centre NHS Foundation TrustのMartin John Wilby氏らは、腰部椎間板ヘルニアに続発した坐骨神経痛に対する最適な治療法を検討するため、経椎間孔ステロイド注射(TFESI)と顕微鏡的ヘルニア摘出術を比較するランダム化比較試験(RCT)を行い、有効性では両群に差は見られないが、手術の費用が高いことから、最初の侵襲的治療としてはTFESIが望ましいと報告した。結果は2021年3月18日のLancet Rheumatology誌電子版に掲載された。

 腰部椎間板ヘルニアによる坐骨神経痛を発症した患者の8割は、保存的治療だけでも12~24カ月以内に症状が改善する。しかし、この疾患の好発年齢は40~45歳であるため、症状が長引けば生計の維持が難しくなることがある。鎮痛薬とライフスタイルの修正では改善しなかった重症患者に対する治療をどうするべきか、定まったガイドラインはない。単独施設による研究では、顕微鏡的ヘルニア摘出術の有効性を示したものや、TFESIで手術が必要な患者を減らせるという報告もあるが、決定的なエビデンスはない。そこで著者らは、多施設参加のRCTで、腰部椎間板ヘルニアによる神経根性疼痛に対するTFESIと顕微鏡的ヘルニア的手術術の臨床的な効果と費用対効果を明らかにしようと考えた。

 フェーズ3試験の「NERVES」には、脊椎疾患の3次医療を担当する英国の11施設が参加している。組み入れ対象は、年齢が16~65歳で、腰部椎間板ヘルニアに続発した坐骨神経痛を起こした患者。MRIにより神経の圧迫が確認され、保存的治療に反応せず、下肢の痛みが6週間から12カ月間持続している場合とした。馬尾症候群や足関節の脱力など、神経障害が重度の救急患者は除外した。

 条件を満たした患者は、1対1の割合でTFESIまたは顕微鏡的ヘルニア摘出術にランダムに割り付けた。手術は専門医が行い、脊椎のレベルと椎間板の状態を記録した。TFESIのレジメンは、局所麻酔薬のレボブピバカイン0.25%溶液2mLと、20~60mgのトリアムシノロン・アセトニドを推奨した。部分的な効果が見られた場合は、同側への2回目の注射を許可した。割り付けられた治療は6週以内に実施することとし、その治療が有効ではないと判定された患者には、クロスオーバー治療を許可した。追跡は54~62週間行った。疼痛やQOL評価のための質問票は、ベースラインから18週、30週、42週、54週の時点で回答してもらった。

 有効性の主要評価項目は、18週時点のOswestry Disability Questionnaire(ODQ)スコアに設定した(スコア幅は0~100点で数値が大きいほど症状が重い)。副次評価項目は、30・42・54週時点のODQスコア、下肢痛と腰痛の0~100点での点数化スコア、患者満足度のリッカートスケール、座骨神経痛に対する修正Roland-Morris(MRM)スコアなどとした。治療に関連する有害事象の評価は18週後と54週後に行った。費用対効果は、QuroQol-5D-5LとHospital Episode Statistics、医薬品の使用、自己申告されたリソース使用状況に基づいて推定した。

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