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Lancet誌から
B細胞を調べてRA患者の治療薬を選択する研究
TNF阻害薬が奏功しなかった患者にはどの薬を用いるべきか?

 英国Queen Mary University of LondonのFrances Humby氏らは、関節リウマチ(RA)患者に対して滑膜生検を行い、標本のRNA配列を解析して、B細胞の発現レベルが低い患者にはトシリズマブを適用すると、リツキシマブよりも16週時点で症状の改善を達成できる患者の割合が増加すると報告した。オープンラベルのランダム化フェーズ4試験R4RAの結果はLancet誌2021年1月23日号に掲載された。

 分子標的型生物製剤は、RA患者の転帰を向上させたが、約40%の患者は利益を得られない。その理由はいまだ明らかではなく、分子標的型生物製剤の効果を予測する方法の確立が急がれている。

 B細胞は、RAに特異的な自己抗体を産生し、抗原提示細胞として機能し、さらに炎症誘発制サイトカインや、破骨細胞の活性化や増殖を促すサイトカインの分泌を引き起こして、関節滑膜の炎症に関与する。抗体医薬のリツキシマブの標的はB細胞表面に存在するCD20で、リツキシマブを投与すればB細胞は除去される。RAに対するリツキシマブの適応は、従来型の疾患修飾薬とTNF阻害薬が奏効しなかった患者となっている。

 しかし、この条件を満たす患者でも、リツキシマブに対する反応は様々だ。治療前に血液を採取してB細胞数を調べれば、反応性を予測できると考えた研究者たちが、この仮説について検討したが、臨床アウトカムとの関連は見られなかった。また、リツキシマブを投与された患者では一様に、末梢血のB細胞が顕著に減少するにもかかわらず、半数程度の患者しか利益を得られない理由は明らかではない。

 一方で、治療前の滑膜におけるCD79a陽性B細胞の数や、治療開始後の、特定の分子シグネチャの変化や滑膜の形質細胞の減少などが、リツキシマブに対する反応と関係することを示す小規模な観察研究はあった。また、関節置換術を受けた、晩期RA患者と、疾患活動性が高い早期RA患者から得られた知見は、半数の患者で、滑膜組織へのB細胞の浸潤が全くないかほとんどないことを示していた。これは、約半数の患者において、関節の炎症は、B細胞以外によってもたらされていることを示唆する。

 そこで著者らは、滑膜生検によってCD20陽性B細胞が少ないことが明らかになった患者には、リツキシマブは有効ではなく、トシリズマブのような別の生物製剤の方が有効ではないかと考えて、この仮説を検証するランダム化比較試験を計画した。

 48週間のR4RA試験は、欧州5カ国(英国、ベルギー、イタリア、ポルトガル、スペイン)の19施設で行われた。組み入れ対象は、米国リウマチ学会(ACR)と欧州リウマチ学会(EULAR)が合同で2010年に公開したRA分類基準を満たした18歳以上のRA患者で、英国のNICEガイドラインに基づいてリツキシマブの適応と見なされた人(標準的なDMARDsの治療に加え、TNF阻害薬も1つ以上試したが奏功しない人)。

 ベースラインで参加者は、活動性の関節を対象に超音波ガイド下関節鏡による滑膜生検を受けた。生検標本はヘマトキシリン・エオジン染色や免疫組織化学マーカーを調べ、病理専門医が判定を行い、CD20陽性B細胞が少ない、CD20陽性B細胞が多い、胚中心陽性、不明(生検により滑膜組織が確認できなかった場合)の4群に分類した。また、生検標本のトランスクリプトーム解析を行い、mRNAの発現状態に基づいて、B細胞特異的な発現のレベルを推定し、中央値より多いか少ないかの2群に分類した。

 参加者は1対1の割合でランダムに、リツキシマブ(1000mgを2週間隔で2回投与)またはトシリズマブ(8mg/kgを4週間隔で投与)に割り付けた。追跡は4週間ごとに行い、48週後まで継続するが、今回は16週後の症状改善結果と48週後までの有害事象について報告している。この試験は、B細胞数が少なかった患者を対象として、16週時点でリツキシマブに対するトシリズマブの優越性を検討できる検出力を持つよう設計された。

 主要評価項目は、CDAI(Clinical Disease Activity Index)スコアの50%改善(CDAI50%)の達成率に設定した。分析はIntention-to-treatで行った。CDAIが50%改善していても、低疾患活動性にならなかった患者は達成者に含めなかった。副次評価項目は、CDAI寛解、DAS28-ESR、DAS28-CRP、EULAR、などの指標を用いた。

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