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Lancet誌から
植物由来のインフルエンザワクチン臨床試験
65歳以上のフェーズ3試験で不活化ワクチンに非劣性

 カナダMedicago社のBrian J Ward氏らは、植物由来ウイルス様粒子からなる4価(QVLP)インフルエンザワクチンを用いて、18~64歳の健康な成人に接種してプラセボと比較する臨床試験と、65歳以上の高齢者に接種して不活化ワクチンと比較する2つのフェーズ3試験を行い、このワクチンがインフルエンザ様疾患の予防に役立ち、重篤な有害事象は少なかったと報告した。結果は2020年10月13日にLancet誌電子版に掲載された。

 今回臨床試験に用いられた植物由来のウイルス様粒子は、タバコ(Nicotiana benthamiana)の細胞に組換えヘマグルチニンを発現させて、ウイルスと同様の外部構造を形成させたもので、ウイルスの遺伝子を含まないために安全性は高い。さらに、流行株が同定されてから6~8週間で製造できることから、鶏卵培養法を用いる従来型のワクチンよりもパンデミック時においても有望と考えられている。これまでに行われた臨床試験で、ヘマグルチニン量30μg/株を含むQVLPワクチンは、18~85歳の人々に対し、抗体とCD4+ T細胞の反応を強力に誘導することが示されている。

 著者らは、18~64歳の成人には2017~18年のインフルエンザ流行期に(18~64試験)、65歳以上の高齢者は2018~19年のインフルエンザ流行期にフェーズ3試験(65+試験)を行った。WHOがその流行期に向けて選出した4株を対象とする4価の組換えQVLPワクチンを作成し、18~64試験はアジア(フィリピン、タイ)、欧州(フィンランド、ドイツ、英国)、北米(米国、カナダ)の73施設が参加し、65+試験には104施設が参加した。

 18~64試験の組み入れ条件は、BMIが40未満で、健康状態が良好な人となっており、女性は妊娠していないことを検査で確認した。65歳以上を対象とする試験は、BMIが35以下で、介護施設やリハビリ施設に入所しておらず、急性または進行する病気ではない人とした。

 条件を満たした18~64試験参加者は、1対1の割合で、QVLPワクチンまたはプラセボに割り付けた。65+試験では1対1の割合で、QVLPワクチンまたは4価の不活化細胞培養ワクチン(ドイツGlaxoSmithKline社製のFluarix Quadrivalent)に割り付けた。参加者の割合は北米が多く、18~64試験では北米:欧州:アジアの比率が3対1対1、65+試験では8対4対1だった。ワクチンやプラセボは、あらかじめ用意されたシリンジで0.5mLを三角筋に単回接種した。

 18~64試験の主要評価項目は、ワクチンにカバーされているインフルエンザウイルス株に起因する呼吸器疾患の予防における絶対的な効果(efficacy)とした。米食品医薬品局(FDA)のCenter for Biologics Evaluation and Research(CBER)が推奨するワクチンの効果の指標である70%(95%信頼区間の下限が40%超)の達成を目指した。    

 65+試験の主要評価項目は、あらゆるインフルエンザ株によるインフルエンザ様疾患の予防における相対的な効果とし、非劣性のマージンは、95%信頼区間の下限が-20%より下に設定した。

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