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Lancet誌から
149カ国の調査でワクチン信頼度最低は日本
約28万人が回答したVaccine Confidence Index調査データの分析

 英国London大学衛生熱帯医学大学院のAlexandre de Figueiredo氏らは、2015年から2019年までに、Vaccine Confidence Index(VCI)調査ツールを用いたワクチンに対する信頼度調査を、世界の149カ国で290回実施した結果を取りまとめ、各国の住民の信頼度の違い、信頼度は増加しているか減少しているか、学歴や宗教による影響などを考察して、Lancet誌電子版に2020年9月10日に報告した。

 ワクチンに対する信頼の低下は、予防接種率の低下を引き起こし、麻疹のようなワクチンで予防できる感染症の患者の増加につながる。世界各国の予防接種率は公表されているが、各国の国民の予防接種への信頼度をモニターするシステムはなかった。

 Vaccine Confidence Project(VCP)は、人々のワクチン信頼度を調査し、政策決定者と利害関係者に情報を提供するための系統的なアプローチの構築を目的として、2010年に開始された。VCPは2015年にVCI調査ツールを作製した。VCIは、国民1人1人が、予防接種の安全性、重要性、有効性についてどう考えているのかを評価するツールだ。著者らは、世界各国でVCIを用いて行われた調査データから、ワクチン信頼度に関わる質問に対する回答を利用して、国ごとの予防接種信頼度を評価することにした。

 大規模後ろ向き研究の対象にしたのは、2015年9月から2019年12月までに、18歳以上の人々を対象に149カ国で行われた、290件(合計28万4381人が対象)の調査のデータだ。性別と年齢を各国の人口比率に合わせて、1回の調査当たり約1000人を選びだし、オンライン調査、電話調査、対面調査を組み合わせて実施した。

 調査の実施回数は国によって異なり、最も多いフィリピンでは、対象期間中に6回の調査が行われていた。期間中に4回実施したのが13カ国、3回実施したのが28カ国、2回実施したのが40カ国、1回のみだった国は67カ国だった。

 VCIの調査項目の中から選んだ質問は、「ワクチンは安全だと思うか」、「子供たちが予防接種を受けることは大切だと思うか」、「ワクチンは有効だと思うか」の3つだ。リッカート尺度による回答の選択肢は、「強く反対する」と「強く同意する」の中間段階に「どちらかと言えば同意」などいくつかのバリエーションがあったが、今回の分析では、「強く反対する」、「どちらとも言えない」、「強く同意する」の3つに再分類し、国ごとに、これらを選択した患者の割合を算出した。

 予防接種の安全性、重要性、有効性に関する各国の国民の意識は、ベイズの多項ロジットガウス過程モデルを用いて推定した。ワクチン接種率の増減につながると推測される多様な誘因(社会経済的状況、教育レベル、情報源、信仰する宗教などを含む)の関係は単変量ベイジアンロジスティック回帰モデルを用いて推定した。ベイズ推定にはギブスサンプリングを適用し、不確実性を捕捉するために95%最高事後密度(HPD)区間を推定した。

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