日経メディカルのロゴ画像

Lancet誌から
WHOの子宮頸癌撲滅プログラムの効果推定
目標達成なら100年後までに途上国の女性6200万人の命を救えそう

 WHOは、公衆衛生上の課題として、子宮頸癌撲滅に向けた世界的な戦略を立てている。豪州Cancer Council AustraliaのKaren Canfell氏らは、HPVワクチンのカバー率を上げ、スクリーニング受診率を高め、前癌病変も含む患者に適切な治療を実施する、というWHOのトリプル介入戦略の目標が達成できれば、2120年までに世界銀行の定義による低・中所得国(LMICs)の子宮頸癌死亡率は99%低下し、6200万人の女性の命を救える可能性があると推定した。結果はLancet誌電子版に2020年1月30日に掲載された。

 2018年に全世界で、おおよそ57万人が子宮頸癌と診断され、31万1000人が死亡したと推定されている。多くの高所得国では、スクリーニングの実施と治療方法の改善により、過去数十年間にこの疾患のコントロールは向上した。しかしLMICsを中心とする42カ国では、子宮頸癌は女性の癌死亡の主な原因として残ったままだ。

 ほとんどの高所得国で、2006年からHPVワクチンの接種が始まったが、接種対象年齢は思春期前から思春期の人々となっているため、子宮頸癌死亡に対する利益が認められるようになるまでには数十年かかる見込みだ。また、接種率が順調に上昇していない国もあり、たとえばLMICsの中ではでは、2016年の時点で接種プログラムが確立されていた国は14%に留まっていた。

 近年、先進国では細胞診によるスクリーニングの代わりに、HPV検査を用いるようになった。後者の方が有効性は高く、費用対効果も良好だ。これにより、前癌病変も含めた子宮頸癌の早期発見の可能性が高まり、治療の向上も貢献して、5年生存率は少なくとも60~70%になっている。しかしLMICsでは、幅広いスクリーニングは行われておらず、誰もが治療を受けられる状況ではない。子宮頸癌死亡の60%はLMICsで発生している。

この記事を読んでいる人におすすめ