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Lancet誌から
潰瘍性大腸炎患者の大腸癌死亡率の変遷
スウェーデンとデンマークのUC患者の大腸癌を追跡したコホート研究

 潰瘍性大腸炎(UC)は大腸癌の危険因子であるため、UC患者には内視鏡を用いたサーベイランスが行われている。スウェーデンKarolinska研究所のOla Olen氏らは、スウェーデンとデンマークのUC患者の大腸癌発症率と死亡率を、条件をマッチさせた地域の一般住民と比較するコホート研究を行い、UC患者の方が早期のステージで癌が見つかっているにもかかわらず、死亡率は一般住民よりも高かったと報告した。結果はLancet誌2020年1月11日号に掲載された。

 定期的な内視鏡検査は、UC患者にとって負担でありコストも高い。しかし、現在のサーベイランスプログラムが最適なものであるかどうかは検討されていなかった。また近年では治療薬の種類が増え、結腸切除術の割合が減っているため、昔の研究とは観察結果が異なる可能性がある。そこで著者らは、スウェーデンとデンマークのUC患者登録を用いて、大腸癌発症率と死亡率を地域の一般住民と比較する大規模コホート研究を行うことにした。

 両国の国民健康保険データベースから、デンマークは1977年1月1日~2011年12月31日の期間にUCと診断された患者を、スウェーデンは1969年1月1日~2017年12月31日までにUCと診断されていた患者を抽出した。対照群には、炎症性腸疾患の病歴がない一般住民の中から、患者1人につき最大で10人まで、性別、年齢、生まれ年、居住地がマッチする人を選び出した。もしも対照群に選ばれた人が後の人生でUCを発症した場合は、診断時点で発症率や死亡率の計算から外した。

 UC患者は診断時点で、小児発症(18再未満)、成人発症(18~40歳未満)、中年発症(40~60歳未満)、高齢発症(60歳以上)に分類した。第1度近親者(両親と兄弟姉妹)の大腸癌の家族歴があるか、結腸切除術の病歴があるかについても分類した。

 主要評価項目は死亡統計による大腸癌死亡率に、副次評価項目は癌登録による大腸癌発症率とした。患者がUCと診断された時点以後の大腸癌のみを対象とした。癌登録がTNM分類を採用するようになった2003年以後はステージ分類も調べた。追跡は終了予定日(デンマークは2011年の12月31日、スウェーデンは2017年の12月31日)、患者死亡、国外移住のいずれかまで継続した。治療法の変化による影響を調べるため、最後の5年間(2013~17年)だけの発症率や死亡率も調べることにした。粗の死亡率や発症率は、2000年の北欧の標準人口に換算した。

 期間中にUCと診断された患者は9万6447人(デンマークの3万2919人、スウェーデンの6万3528人)見つかった。患者の男女比率は1対1で、7.4%が小児期に診断されていた。診断時の年齢は中央値で40歳(四分位範囲27~57歳)、診断から10年以上追跡できた患者の割合は51.7%だった。大腸炎が広範囲に渡っていた患者が48.2%を占め、原発性硬化性胆管炎患者は3.1%だった。

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