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Lancet誌から
PCI時のカングレロール投与は血栓性合併症を低減
クロピドグレルまたはプラセボと比較した3件のCHAMPION試験のプール解析

 PCIを受ける患者へのカングレロール投与は、クロピドグレル、プラセボに比べ48時間以内と30日以内の血栓性合併症リスクを低減することが、3件の二重盲検ランダム化比較試験(RCT)のプール解析で明らかになった。軽症の出血リスクはカングレロール群で有意に高かった。フランスParis-Diderot大学のPhilippe Gabriel Steg氏らが、Lancet誌電子版に2013年9月3日に報告した。

 PCIは心筋血行再建術として最も広く適用されており、有効性も高いが、PCI中またはPCI後に血栓性合併症が発生する可能性がある。経口の血小板P2Y12受容体阻害薬であるクロピドグレルやプラスグレルは虚血性イベントを減らすが、作用発現に時間がかかるため、PCIの実施が検討される患者の急性期治療への適用は制限される。また、クロピドグレルの効果は患者によってばらつくこと、作用が消失するまでに5~7日かかることなどが一部の患者にとって問題になる。一方、カングレロールは、直接作用型P2Y12受容体阻害薬で、静注した場合の作用は即効型で可逆的(半減期は3~6分)であり、強力で安定した効果を示す。

 先に、PCI時のカングレロールの有効性と安全性を評価する3件の二重盲検大規模RCT(CHAMPION-PCICHAMPION-PLATFORMCHAMPION-PHOENIX)が行われ、結果が論文発表された。CHAMPION-PCIとCHAMPION-PLATFORMは、主要転帰評価指標を48時間以内の全死因死亡、心筋梗塞、虚血による血行再建術再施行を合わせた複合イベントに設定しており、カングレロール群と対照群の間に有意差なしと報告している(参考記事:2009.12.18「PCI時のカングレロール静注はクロピドグレルに優らず」)。CHAMPION-PHOENIXは主要転帰指標を48時間以内の全死因死亡、心筋梗塞、虚血による血行再建術再施行、ステント血栓症を合わせた複合イベントに設定し、対照群に比べカングレロール群では有意なリスク減少が示されていた。

 3件の試験デザインは、対照群へのクロピドグレルの投与のタイミングと用量、対象となった患者のベースラインの特性、転帰の定義などの点で異なっていた。

 そこで著者らは、3件の試験に登録された個々の患者のデータをプール解析して、クロピドグレルまたはプラセボとカングレロールの効果を比較した。プール解析の実施は、3件目となるCHAMPION-PHOENIX試験の開始前に計画されていた。

 3件の試験は、PCI中とPCI後の血栓性合併症の予防における有効性と安全性をカングレロールとクロピドグレルまたはプラセボの間で比較していた。カングレロール群には、カングレロール30μg/kgをボーラス投与後、4μg/kg/分で2~4時間静脈内投与し、術後はクロピドグレルを600mg経口投与した。対照群は、CHAMPION-PCIではPCI開始時にクロピドグレル600mgまたはプラセボ、CHAMPION-PLATFORMではPCI終了時にクロピドグレル600mgまたはプラセボ、CHAMPION-PHOENIXではPCI開始時または終了時にクロピドグレル300mgまたは600mg、またはプラセボを経口投与した。

 プール解析では、有効性の主要評価指標は、48時間以内の全死因死亡、心筋梗塞、虚血による血行再建術再施行、ステント血栓症の4つを合わせた複合イベントに設定。重要な2次評価指標として48時間以内のステント血栓症の発生率を比較した。安全性の主要評価指標は、48時間以内に発生したCABG関連でない出血のうち、GUSTO出血基準で重症または生命を脅かす出血に設定した。

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