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Lancet誌から
ヒトと生鮮市場のニワトリのH7N9遺伝子配列に高い相同性
中国のH7N9感染者4人の臨床データとウイルス遺伝子を分析

 NEJM誌に続いてLancet誌も、中国でのインフルエンザA(H7N9)ウイルスに感染した患者の臨床データとウイルスの遺伝子に関する情報を掲載した。感染者から分離されたウイルスの遺伝子配列と、患者が鳥に接触した生鮮市場で売られていたニワトリから分離されたウイルスの遺伝子配列の相同性は高く、鳥からヒトへの感染が起きたと考えられた。中国Zhejiang大学のYu Chen氏らが、Lancet誌電子版に2013年4月25日に報告した。

 著者らは、3月7日~4月8日までにZhejiang大学医学院附属第一医院などの3施設に入院した患者のうち、新たに呼吸器症状が現れ、胸部X線撮影により浸潤影が認められ、検査でH7N9感染が確定した症例を分析対象にした。家禽との接触歴を調べるとともに、身体所見、血液学的、生化学的、微生物学的検査の結果と胸部X線所見などを記録した。また、咽頭スワブなどの気道標本と喀痰標本を採取し、RT-PCRを行ってインフルエンザウイルスのM、H7、N9遺伝子を検出。イヌ腎臓尿細管上皮細胞由来の細胞株を用いてウイルスを培養した。

 患者検体を対象にRSウイルス、Hib(インフルエンザ菌b型)、パラインフルエンザウイルス、コロナウイルスなどの共感染の有無を調べ、ウイルス感染に対する免疫反応を評価するために、血清中のサイトカインとケモカイン(IFNγ、IL2、IL4、IL6、IL10、腫瘍壊死因子[TNF]α)の濃度を測定した。

 次に、個々の患者と疫学的に関連づけられた生鮮市場で入手した計86羽の家禽(ニワトリ20羽、ウズラ4羽、ハト5羽、アヒル57羽)から肛門スワブを得て有胚卵に植え付け、ウイルス培養を行った。

 患者1人から分離されたウイルス株と疫学的に関連するニワトリ由来の1ウイルス株の8つの遺伝子分節の配列を比較して系統発生学的分析を行い、H、N、PB2、N5遺伝子について系統樹を作成した。

 分析対象になった4人の患者(39歳男性、68歳男性、64歳男性、51歳女性)は、全員が発症前3~8日間に家禽と接触していた。どの患者についても、細菌または真菌の共感染は検出されなかった。

 受診時に上気道感染症状や結膜炎は見られなかった。一方で、全員に発熱と下気道感染症状(呼吸困難、咳、喀痰など)が認められた。1人の患者は顕著な筋痛を訴えた。胸部X線撮影とCTにより、全員に多葉性の斑状浸潤影とびまん性肺胞陰影が認められた。CT所見では、部分的なすりガラス状の変化が見られた。

 3人の患者にはH7N9感染確定後にオセルタミビルが1日2回投与されたが、投与開始は最も早い患者が発症から6日、最も遅い患者は27日後だった。2人に免疫グロブリンの静脈内投与が行われ、全員にメチルプレドニゾロンが静注された。

 全員が入院当初から呼吸療法を必要とした。肺炎は急速に進行し、抗菌薬には反応しなかった。その後3人に機械的換気が行われた。発症から呼吸不全までの平均日数は9日だった。2人の患者は気管挿管から4日目に死亡したが、残りの2人は臨床的、放射線学的に回復を示し、抜管に至った。

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