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Lancet誌から
スタチン使用者が運動能力を高めると死亡リスクがさらに減少?

 脂質異常症の人々の運動耐容能スタチン使用の有無が全死因死亡に及ぼす影響を調べた前向きコホート研究で、スタチンを使用しながら運動耐容能の向上を図れば、それぞれを単独で行った場合に優る利益を得られることを示唆するデータが得られた。米Washington DC退役軍人医療センターのPeter F Kokkinos氏らが、2012年11月28日付のLancet誌電子版に報告した。

 スタチンは脂質異常症患者や心血管疾患患者の管理に広く用いられている。また、積極的な運動も健常人や心血管疾患患者の死亡リスクの低減に関係することが示されている。しかしこれまで、運動とスタチンを組み合わせた場合の全死因死亡に対する影響についてはほとんど明らかではなかった。また、脂質異常症だがスタチンが使用できない人々が積極的に運動すれば、死亡リスクの低減が期待できるのかどうかも不明だった。

 そこで著者らは、スタチンの使用と運動能力が全死因死亡に与える影響をそれぞれ別個に評価し、さらにそれらを組み合わせた場合の効果の大きさを調べるために、前向きコホート研究を実施した。

 カリフォルニア州Palo AltoとWashington DCの退役軍人医療センターで、1986~2011年に症候限界性運動負荷試験を受けていた脂質異常症患者を選出した。

 運動負荷試験で明らかになった運動耐容能の最大値(最大酸素摂取量を測定し、その運動の強度をMETsで表す。1METは酸素消費量3.5mL/kg/分にほぼ相当し、安静状態の運動強度を示す)に基づいて、集団を以下の4群に層別化にした:運動耐容能の最大値が5.0METs以下(25パーセンタイルに相当)、5.1~7.0METsの範囲(26~50パーセンタイルに相当)、7.1~9.0METsの範囲(51~75パーセンタイルに相当)、9.0METs超(75パーセンタイル超)。これら4群をさらに、スタチン使用あり、使用なしに分類して、計8群とした。運動耐容能が2METs未満、BMIが15.5未満、HIV感染などに該当する患者は除外した。

 運動負荷試験の前に収集した臨床データ、人口統計学的データ、使用している薬剤のデータなどを得た。さらに、退役軍人のデータベースから11年12月31日までの死亡に関する情報を得た。

 主要評価指標は全死因死亡とし、年齢、BMI、人種、性別、心血管疾患歴、心血管疾患治療薬の使用、心血管危険因子などで調整し、Cox比例ハザードモデルを用いて比較を行った。

 1万43人(平均年齢58.8歳、SDは10.9歳、女性は343人、スタチン使用者は5033人)のコホート全体では、METsの最大値が5.0以下だったのは2084人(スタチン使用者が1060人、非使用者が1024人)、5.1~7.0は2727人(1573人と1154人)、7.1~9.0は3040人(1705人と1335人)、9.0超が2192人(694人と1498人)だった。

 中央値10.0年(四分位範囲は6.0~14.2年)、10万5334人-年の追跡で、2318人(23.1%)が死亡した。1000人-年当たりの死亡数は22(95%信頼区間13-31)だった。スタチン使用群の死亡率は18.5%(5046人中935人)、スタチン非使用群では27.7%(4997人中1386人)で、非使用群と比較した使用群の死亡の調整ハザード比は0.65(0.59-0.71、P<0.0001)になった。

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