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Lancet誌から
重症潰瘍性大腸炎へのシクロスポリンとインフリキシマブの有効性に差なし

 潰瘍性大腸炎の重症再燃時のレスキュー治療として、シクロスポリンインフリキシマブのどちらがより有効なのだろうか。両剤を比較する無作為化試験を行った仏Bordeaux第2大学Haut-Leveque病院のDavid Laharie氏らは、どちらの薬剤を用いても14週間の治療失敗リスクに差はなく、その他の転帰にも有意差は見られないことを明らかにした。論文は、2012年10月10日付のLancet誌電子版に掲載された。

 潰瘍性大腸炎の重症患者の約4割は、標準治療であるステロイド静注に反応しない。以前は、そういった患者に残る選択肢は結腸切除しかなかったが、現在は手術の代わりにシクロスポリンまたはインフリキシマブが用いられる。だが、これら2剤の有効性と安全性を比較した無作為化試験は行われておらず、ガイドラインも、どちらがより好ましいのかは言及していない。

 著者らは、急性重症潰瘍性大腸炎患者の結腸切除を回避するためのレスキュー治療として、これら2剤の有効性と安全性を比較する98日間の無作為化試験をオープンラベルで実施した。

 07年6月1日から10年8月31日の間に、欧州の27施設で試験を実施した。対象は、急性でLichtiger臨床活動性指数のスコア(8項目からなり、スコアの範囲は0~21。低スコアほど活動性が低いことを意味する)が10超の重症再燃を生じた人々のうち、高用量のステロイド静注(最低でもメチルプレドニゾロン0.8mg/kg/日または等価のステロイドを5日以上投与)に反応しなかった18歳以上の潰瘍性大腸炎患者とした。直腸炎のみの患者や、結腸切除が必要と医師が判断した患者などは除外した。登録された患者の中に、シクロスポリンまたはインフリキシマブ投与歴のある人はいなかった。

 条件を満たした115人を、1対1の割合でシクロスポリン(58人)またはインフリキシマブ(57人)に無作為に割り付けた。

 シクロスポリン群には2mg/kg/日の静注を1週間行い、血中濃度が150~250ng/mLになるよう用量を調整した。7日時点で臨床反応あり(5日目、6日目、7日目のLichtigerスコアが10未満で、ベースラインに比べ3ポイント以上低下していた患者)と判断された患者を経口投与に切り替え、4mg/kgを1日2回に分けて98日目まで投与。その間も血中濃度を測定して150~250ng/mLになるよう用量を調整した。また、シクロスポリン群にはカリニ肺炎(Pneumocystis jirovecii感染症)に対する予防薬を投与した。

 インフリキシマブ群には、0日目にインフリキシマブ5mg/kgを投与。7日目に臨床反応が見られたと判断された患者には、14日目、42日目にも同量を投与した。

 ステロイドの静注は全員に対して7日目まで継続し、7日時に臨床反応ありと判断された患者については30mg/日の経口投与に切り替えて、徐々に減量した。

 ベースラインでは基本的にアザチオプリンまたはメルカプトプリンを投与しなかった(組み入れ前4週間にこれらの使用を開始していた患者を除く)。また、治療に反応した患者には、7日時点でアザチオプリンの投与を開始した。

 主要評価指標は、治療失敗(7日時点で臨床反応なし、7~98日の間に再発、98日時点でステロイドを必要としない寛解を達成できず、治療中止を必要とする重症有害事象発生、結腸切除術施行、死亡のいずれか)に設定、分析はintention-to-treatで行った。寛解は、重症度を示すMayoスコア(4項目からなりスコアは0~12。低スコアほど軽症を意味する)が2以下、かつMayoスコアの中の内視鏡所見サブスコアが1以下と定義した。

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