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Lancet誌から
2型糖尿病ハイリスク者へのスクリーニングに死亡減少効果みられず
英国で行われた無作為化試験ADDITION-Cambridgeの結果

 2型糖尿病リスクの高い成人を対象に糖尿病スクリーニングを行っても、その後約10年間の全死因死亡、心血管死亡、癌死亡、糖尿病関連死亡のリスクは、スクリーニングを受けなかった人々と有意差がないことが、英国の無作為化試験で明らかになった。英MRC疫学部門のRebecca K Simmons氏らが、Lancet誌電子版に2012年10月4日に報告した。

 2型糖尿病の有病率の上昇は公衆衛生上、大きな問題になっている。住民ベースのスクリーニングと早期の介入を行えば、2型糖尿病が公衆衛生に及ぼす負荷を減らせる可能性がある。しかし、糖尿病スクリーニングの利益は明らかになっていない。

 著者らは住民ベースの段階的スクリーニングプログラムが、糖尿病である可能性が高い人々の10年間の死亡に及ぼす影響を評価するクラスター無作為化試験ADDITION-Cambridge試験を実施した。評価指標を死亡に設定したのは、スクリーニング開始後の死亡率の変化を調べれば、スクリーニングの利益とリスクが総合的に評価できるからだ。

 試験は、スクリーニングを受けた集団と受けなかった集団の転帰を比較する部分と、強力な介入を受けた集団と通常の介入を受けた集団の転帰を比較する部分から成る。今回著者らは、スクリーニングの有無とその後約10年間の死亡の関係を分析し、報告している。

 糖尿病リスクの評価には、著者らが開発して2000年に報告した、糖尿病の早期発見を目的とするリスクスコア算出法(0から1の範囲)を用いた。01年9月から03年4月にかけて、イングランド東部で、この算出法に必要なデータを患者の7割以上について提出できた診療所を登録した。患者の組み入れ条件は、糖尿病と診断されてはいないが、リスクスコアが0.17以上(リスクが高い方から25パーセンタイル以上に相当)で、担当医がスクリーニング参加が適切と判断した人々とした。

 条件を満たした一般診療所33施設を、施設単位で以下の3群に無作為に割り付けた:スクリーニングを行い、糖尿病と診断された患者には強力な多因子介入を実施する群(15施設)、スクリーニングを行い、糖尿病と診断された患者にはガイドラインにそった通常のケアを実施する群(13施設)、スクリーニングを行わない群(5施設=対照群)。スクリーニング+強力な介入に割り付けられた15施設のうち1施設は割り付け直後に脱落した。

 計32の診療所を利用する年齢40~69歳の2万184人(平均年齢58歳)が、リスクスコア0.17以上の条件を満たした。

 主要転帰評価指標は、全死因死亡に設定。参加者全員について、イングランドとウェールズの統計局に照会し、死亡の有無を調べた。分析はintention-to-treatで行った。

 スクリーニングは02年1月から06年3月までに段階的に行った。受診時にキャピラリー採血を行って血糖値とHbA1c値を測定、次に空腹時にキャピラリー採血を行って血糖値を測定、最後に経口ブドウ糖負荷試験を行って確認した。

 スクリーニングに割り付けられた施設を利用していた1万6047人のうち、1万5089人(94%)が01~06年の間にスクリーニングに招待され、1万1737人(73%)がスクリーニングを受け、466人(3%)が糖尿病と診断された。

 対照群の4137人は、そのまま追跡した。

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