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Lancet誌から
アピキサバンの利益はCHADS2など既存のスコアにかかわらずワルファリンに優る
ARISTOTLE試験のサブ解析結果

 新規抗凝固薬アピキサバンは、心房細動患者にワルファリンを投与する際に利用する、既存の脳卒中リスク評価指標(CHADS2CHA2DS2VASc)または出血リスク評価指標(HAS-BLED)のスコアにかかわらず、ワルファリンに優る利益をもたらすことが、ARISTOTLE試験のサブ解析で示された。米Duke大学のRenato D Lopes氏らが、Lancet誌電子版に2012年10月2日に報告した。

 心房細動患者の脳卒中や全身塞栓症を予防するための治療は、適用した場合に個々の患者が得る利益と負うリスクのバランスを考えて選択する必要がある。

 ワルファリンは心房細動患者の脳卒中リスクを64%低減すると報告されている。しかし、出血リスクの上昇という問題があるため、臨床意思決定を容易にするための複数のツールが開発されている。心房細動患者の血栓塞栓症リスクを予測するCHADS2とCHA2DS2VASc、抗凝固薬使用に関係する出血リスクを評価するHAS-BLEDなどがこれに相当する。近年は、ワルファリン以外に、新規の経口抗凝固薬が利用できるようになっているが、これらの指標が、個々の患者に適した新規抗凝固薬の選択を助けるかどうかは明らかではなかった。

 ARISTOTLE(Apixaban for Reduction in Stroke and Other Thromboembolic Events in Atrial Fibrillation)試験は、脳卒中の危険因子を1つ以上保有する心房細動患者を登録し、アピキサバンとワルファリンの脳卒中または全身性塞栓症の予防効果を比較した二重盲検の無作為化試験だ。39カ国の1034施設で、心房細動患者1万8201人を登録し、アピキサバン5mg1日2回(9120人)またはワルファリン(INRの目標域は2.0~3.0、9081人)に無作為に割り付けた。中央値1.8年の追跡で、アピキサバン群の方が脳卒中または全身性塞栓症のリスクは低く、死亡リスクと出血リスクも低いことが示された。

 著者らは、この多施設フェーズ3試験のデータを用いて、サブ解析を行った。個々の患者のベースラインのデータを用いてCHADS2、CHA2DS2VASc、HAS-BLEDのスコアを計算し、その値を用いて登録患者を層別化して、個々の集団に対するワルファリンとアピキサバンの利益とリスクを比較した。主要評価指標は脳卒中または全身性塞栓症に、安全性の主要評価指標は大出血(ISTH出血基準による)に設定。有効性の分析はintention-to-treatで行い、安全性の分析の対象は割り付け薬を使用した患者とした。

 ベースラインのそれぞれのスコアの中央値は、CHADS2が2、CHA2DS2VAScが3、HAS-BLEDが2だった。対象者全体では、アピキサバンはワルファリンに比べて塞栓症のリスクを有意に低減し(ハザード比0.79、0.66-0.95)、その効果と、脳卒中リスクと出血リスクのレベルの間に有意な関係は見られなかった。

 CHADS2スコアの「1」「2」「3以上」に患者を層別化した場合の脳卒中または全身性塞栓症イベントは、いずれの層別化グループでもワルファリンに割り付けられた集団に多く発生していた。ワルファリンと比較したアピキサバンのハザード比は、スコア1グループが0.85(0.57-1.27)、スコア2グループは0.90(0.66-1.23)、スコア3以上グループは0.70(0.54-0.91)で、交互作用のP=0.4457になった。

 CHA2DS2VAScスコアの「1」「2」「3以上」に層別化しても同様で、アピキサバン群のスコア1グループのハザード比は1.18(0.46-2.98)、スコア2グループは1.26(0.74-2.16)、スコア3以上グループは0.73(0.60-0.89)で、交互作用のP=0.1210になった。

 HAS-BLEDを用いて出血リスクに基づく層別化を行った場合は、アピキサバン群のスコア0~1のグループのハザード比は0.82(0.59-1.13)、スコア2グループは0.76(0.57-1.02)、スコア3以上グループは0.81(0.58-1.13)で、交互作用のP=0.9422だった。

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