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Lancet誌から
スタチンによる一次予防の利益は糖尿病発症リスクに優る
JUPITER試験の事後解析

 糖尿病危険因子を持つ患者にスタチンを投与すると、糖尿病発症リスクは有意に高まるが、それを上回る心血管イベント予防効果が得られる―。そんな結果が、JUPITER試験の事後解析から得られた。米Harvard大学医学部のPaul M Ridker氏らが、Lancet誌2012年8月11日号に報告した。

 先に行われた研究で、どのスタチン製剤にも、小さいながらも有意な2型糖尿病リスクの上昇が見られること、高用量を投与するとリスクは大きくなることが示されたため、米国では2012年3月に全てのスタチン製剤のラベルに糖尿病リスクに関する警告が追加された。スタチンの使用が増加する中で、糖尿病リスクの上昇が明らかになったことにより、特に心血管イベントの一次予防を目的とする使用に関する懸念が高まった。

 著者らは、スタチン投与による糖尿病リスク上昇を最初に正式に報告したJUPITER試験に登録された患者を分析対象として、スタチンの心血管イベント予防における利益と糖尿病リスクのバランスを評価しようと考えた。

 二重盲検の無作為化試験JUPITERは、心血管疾患または糖尿病の既往がない男女1万7802人を登録し、無作為にロスバスタチン20mg/日または偽薬に割り付けて5年間追跡したものだ。

 今回の主要評価指標は、元のJUPITER試験と同様に、初発の心血管イベント(非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中、不安定狭心症による入院、動脈血行再建術、心血管死亡)に設定された。加えて今回は、静脈血栓塞栓症(VTE)、全死因死亡、医師によって報告された糖尿病発症を2次評価指標とした。

 著者らは、糖尿病発症の主な危険因子と見なされている4つの因子(メタボリックシンドローム、空腹時血糖異常、BMIが30以上、HbA1cが6%超)をベースラインで保有していたかどうかに基づいて対象者を層別化した。4つの危険因子に関する情報がそろっており、登録時に糖尿病ではなかった患者は1万7603人だった。うち1万1508人は危険因子を1つ以上保有しており、6095人は保有していなかった。

 追跡期間中の糖尿病発症は、危険因子非保有群に比べ保有群で高かった。発症率は、100人年当たり0.18と1.88で、ハザード比は10.5(95%信頼区間7.0-15.8、P=0.001)になった。また、スタチン群の糖尿病発症率は偽薬群より高かった。270人と216人でハザード比は1.25(1.05-1.49、P=0.01)。割り付けから発症までの期間の平均は、スタチン群が84.3週、偽薬群は89.7週で、スタチン群の方が5.4週早く糖尿病を発症していた。

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