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Lancet誌から
tPA投与後90分以内のアスピリン静注に利益なし
3カ月時点の転帰改善せず症候性頭蓋内出血が増加、早期中止したARTIS試験の結果

 tPA(組換え組織プラスミノーゲン活性化因子)投与によって血行再建が見られた急性虚血性脳卒中患者に、より早期に抗血小板薬を投与すれば、その後の再閉塞を減らせるのではないか。そうした仮説に基づき行われた多施設無作為化試験の結果が、Lancet誌電子版に2012年6月28日に掲載された。著者のオランダAmsterdam大学のSanne M Zinkstok氏らによると、tPA投与から90分以内にアスピリンを静注しても、3カ月時点の転帰良好患者の割合にアスピリン非投与群との差はなく、アスピリン群には症候性頭蓋内出血が有意に多く見られた。

 tPA静注による血栓溶解療法を受けた急性虚血性脳卒中患者のうち、14~34%が再閉塞を経験する。その原因は、血小板の活性化にあると考えられている。そこで著者らは、tPA投与後早期にアスピリンを静脈内投与した場合の転帰を、通常のtPA療法を受けた患者と比較する、オープンラベルの多施設無作為化試験ARTIS(Antiplatelet therapy in combination with Rt-PA Thrombolysis in Ischemic Stroke)を37施設で実施した。 

 18歳以上の急性虚血性脳卒中患者で、症状発現から4.5時間以内にtPA療法が適用された人々を、tPA投与開始から90分以内に300mgのアスピリンを静注する群、または、標準的なtPA療法のみの群に無作為に割り付けた。両群ともに、ガイドライン通りに、tPA投与後24時間経過してから抗血小板薬の経口投与を開始した。

 主要転帰評価指標は、3カ月時の転帰良好者の割合とし、modified Rankin scale(mRs、0~6、高スコアほど重度の障害、6は死亡)のスコアが0~2の患者の割合を比較した。2次評価指標は3カ月時の死亡、mRsのスコアの分布、症候性頭蓋内出血、重症の全身性出血などに設定。原則としてintention-to reat分析した。

 症候性頭蓋内出血は、CTで出血が確認でき、脳卒中の重症度を示すNIH脳卒中スケール(NIHSS、0~42、高スコアほど重症)のスコアが4ポイント以上上昇した場合とし、重症の全身性出血は、生命を脅かすレベルで速やかな介入が必要な場合とした。

 800人を登録する計画だったが、中間評価においてアスピリン群に利益が見られず、症候性頭蓋内出血が過剰に発生していたため、試験は早期に中止された。

 08年7月29日から11年4月20日までに、642人の患者を登録。322人(平均年齢67.1歳)をアスピリン静注に、320人(66.7歳)を標準的なtPA療法に割り付けた。564人が3カ月の追跡を終了した。

 アスピリン群の患者は、tPA投与から平均67分後にアスピリンの静脈内投与を受けていた。

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