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Lancet誌から
血糖調節が一時的でも正常化すると糖尿病リスクは低下
約2000人の糖尿病前症患者を追跡したDPPOS研究の結果

 糖尿病前症患者の糖尿病発症を予防するためには、どのような介入を行えばいいのだろうか。米Colorado大学のLeigh Perreault氏らは、介入方法にかかわらず、血糖調節の正常化を一時的にでも達成すれば、糖尿病前症患者の糖尿病リスクは有意に低下することを観察研究で明らかにした。論文は、Lancet誌2012年6月16日号に掲載された。

 糖尿病前症の患者に対する生活改善や薬物療法が糖尿病発症を予防できるかどうかを調べた臨床試験は複数ある。それらの結果は、2.4~6年の介入で糖尿病罹患を25~72%低下できたと報告しているが、多くの参加者は介入後も糖尿病前症のままで、血糖調節が正常化した患者サブグループの転帰については言及されていなかった。著者らは、血糖調節正常化を経験した患者の方が、糖尿病前症の状態が持続していた患者より、糖尿病罹患リスクは低いと仮定して、これを検証することにした。

 著者らは先に、糖尿病前症の患者3234人を登録し3.2年(中央値)追跡した無作為化試験Diabetes Prevention Program(DPP)を行っていた。DPPは、糖尿病前症の患者を強力な生活改善、メトホルミン、偽薬の3群に割り付けて糖尿病発症予防効果を比較した試験で、01年7月31日に終了した。その後、登録患者の2761人(85%)が、02年9月1日から08年10月31日まで行われた観察研究Diabetes Prevention Program Outcomes Study(DPPOS)に参加した。今回は、DPP中に少なくとも一回は血糖調節が正常になった患者と、糖尿病前症の状態が持続していた患者の、DPPOS中の糖尿病累積罹患率を比較することにした。

 DPP中もDPPOS中も、75gブドウ糖負荷試験などの評価を12カ月ごとに実施していた。糖尿病罹患の定義は、「空腹時血糖値が7.0mmol/L以上、75gブドウ糖負荷試験後2時間の血糖値が11.0mmol/L以上のいずれかまたは両方」とした。これに基づき、「空腹時血糖値が5.6~6.9mmol/L、2時間血糖値が7.8~11.0mmol/Lのいずれかまたは両方を満たし、糖尿病診断基準を満たす検査値が一度も見られなかった」患者を、「糖尿病前症の状態が持続した」と判断した。一方、血糖調節正常化は、「空腹時血糖値が5.6mmol/L未満かつ2時間血糖値が7.8mmol/L未満になり、一度も糖尿病の診断基準を満たす検査値が出なかったケース」とした。

 DPPOS開始前から研究終了まで、全員に生活改善のためのグループセッションを定期的に提供し、DPPで生活改善に割り付けられた患者にはほぼ2倍のセッションを受ける機会を与えた。DPPでメトホルミンに割り付けられていた患者にはオープンラベルでメトホルミン850mgを1日2回投与した。

 今回の分析の対象は、DPPOS参加者のうち条件を満たした1990人(内訳は、DPP試験で強力な生活改善に割り付けられた736人、メトホルミンに割り付けられた647人、偽薬に割り付けられた607人)とした。追跡期間の中央値は5.7年で、DPP試験中に血糖調節正常化を経験した患者は894人、糖尿病前症の状態が持続していた患者は1096人だった。

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