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Lancet誌から
発症後6時間以内のtPA投与で機能改善に利益
12件の無作為化試験を対象とした最新のメタ分析の結果

 成人の急性虚血性脳卒中に投与される組換え組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)の効果を検討した最新の系統的レビューとメタ分析で、発症から6時間以内に投与を受けた患者をまとめて分析しても機能予後良好な生存において有意な利益がみられること、80歳超の高齢者にも利益をもたらす可能性があることが明らかになった。英Edinburgh大学のJoanna M Wardlaw氏らが、Lancet誌電子版に2012年5月23日に報告した。

 著者らは、12年3月30日までに公表された研究の中から、成人の急性虚血性脳卒中患者を登録し、tPAを静注する介入群と対照群に割り付けていた無作為化試験を選んだ。発症から6時間以内に治療が行われたすべての患者を分析対象とし、主要評価指標を発症から7日以内と追跡期間終了時点の臨床転帰に設定して要約オッズ比を求めた。

 同日に掲載された最新のIST-3試験(結果はこちら)も含む、12件の研究(7012人を登録)を選出。75%の患者が欧州で行われた試験に登録されていた。全ての試験についてバイアスが存在するリスクは低かった。

 投与されたtPAの用量は0.6~1.1mg/kgで、2件以外は対照群に偽薬を投与していた。追跡期間は1カ月が2件、6カ月が1件で、残りは3カ月だった。

 当初7日間の死亡率に関するデータが得られたのは8件の研究で、死亡は介入群が2807人中250人(8.9%)、対照群が2728人中174人(6.4%)、オッズ比は1.44(95%信頼区間1.18-1.76、P=0.0003)と、tPA群で有意に高かった。絶対リスク上昇は1000人当たり25(11-39)だった。

 7日以内の致死的頭蓋内出血については、8件が報告していた。イベントは、tPA群3359人中の120人(3.6%)と、対照群3324人中の21人(0.6%)に発生、オッズ比は4.18(2.99-5.84、P<0.0001)で、絶対リスク上昇は1000人当たり29(23-36)となり、tPA群に初期の死亡が多い理由は致死的頭蓋内出血の増加によって説明できると考えられた。実際に、致死的頭蓋内出血以外の原因による死亡率について報告していた5件の研究のデータを用いて両群を比較したところ、オッズ比は0.93(0.73-1.18、P=0.54)と有意差を示さなかった。

 7日以内の症候性の頭蓋内出血については、どの試験も報告していた。イベント発生はtPA群3548人中272人(7.7%)と対照群3463人中63人(1.8%)で、tPA群のオッズ比は3.72(2.98-4.64、P<0.0001)、絶対リスク上昇は1000人当たり58(49-68)になった。

 7日目以降から追跡期間終了時までの死亡について報告していたのは8件の研究。7日目以降の死亡は、tPA群が2807人中323人(11.5%)、対照群が2728人中372人(13.6%)で、オッズ比は0.84(0.71-0.99、P=0.03)と、tPA群で有意に低かった。tPA群の絶対リスク減少は1000人当たり22(4-39)となった。

 全ての研究が、追跡期間終了時までの全死亡を報告していた。死亡はtPA群が3548人中679人(19.1%)、対照群が3464人中640人(18.5%)で、オッズ比は1.06(0.94-1.20、P=0.33)と有意差を示さなかった。したがって、7日目までのtPA群の死亡率の上昇は、その後の死亡率低下により相殺されて、追跡期間終了時点では両群に有意な差は見られなくなったと考えられた。

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