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Lancet誌から
80歳超へのtPA投与の効果は80歳未満に劣らず
6カ月時点の機能的転帰を比較、無作為化試験IST-3の結果

 組換え組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)を用いた血栓溶解療法を、より広範な患者群を対象に行ったオープンラベルの無作為化試験IST-3(third International Stroke Trial)の結果が、Lancet誌電子版に2012年5月23日に掲載された。tPAを用いた血栓溶解療法は、急性虚血性脳卒中の発症から4.2時間(中央値)、80歳以上の患者が約半数を占める参加者において、6カ月時点の機能的な転帰を向上させることを示した。

 血栓溶解療法は、80歳未満の急性虚血性脳卒中患者に、発症から4.5時間以内に治療を開始した場合に、利益をもたらすことが無作為化試験で示されている。

 現時点では、リスクと利益のバランスを示したエビデンスに基づいて、tPAの適応は、急性脳卒中患者の一部に限定されている。IST-3は、発症から最長6時間までの治療開始を認めて、より広範な患者に血栓溶解療法を行った場合の利益とリスクを調べ、リスクに比べ利益が大きい集団を同定することを目的に行われた。

 英国、ポーランドなど欧州を中心とする12カ国の156病院で、2000年5月から11年7月までに急性虚血性脳卒中患者3035人を登録。tPA 0.9mg/kg(最大用量は90mg)を静注(10%をボーラス投与し残りを1時間かけて静注)、またはコントロールに割り付けた。両群ともに組織的な脳卒中ケアを受けた。当初は二重盲検で行ったため、その期間に登録された276人の患者のうちのコントロール群には偽薬を投与したが、その後のオープンラベル期間には偽薬の投与は行わなかった。

 主要評価指標は、6カ月の時点で生存しており生活が自立していること(Oxford Handicap Score;OHSのスコアが0~2)に設定。OHSは、脳卒中患者の日常生活の自立度の評価に用いられている修正Rankinスコアのバリエーションの1つだ。

 著者らは、目的変数であるOHSが順序尺度であることから、2次評価指標として順序ロジスティック回帰分析を行った。ここでは、OHSのスコアに基づいて自立度を0、1、2、3と4~6の5段階に分けて、介入群と対照群の転帰の分布の差を検出した。

 3035人のうち、1617人(53%)が80歳超だった。介入群に割り付けられた1515人と、対照群に割り付けられた1520人の全員が分析対象になった。

 介入群に対するtPA投与開始は発症から4.2時間(中央値)だった。

 主要評価指標である、6カ月の時点でOHSスコアが0~2だった患者は、介入群が554人(37%)、対照群が534人(35%)で、調整オッズ比は1.13(95%信頼区間0.95-1.35、P=0.181)となり、有意差は見られなかった。介入群の絶対増加は1000人当たり14(-20から48)程度になる可能性が推定された。

 スコア別に見ると、6カ月時にスコア0だった患者は、介入群が138人(9%)、対照群が116人(8%)。スコア1は225人(15%)と204人(13%)。スコア2は191人(13%)と214人(14%)。スコア3は235人(16%)と193人(13%)。スコア4は115人(8%)と140人(9%)。スコア5は203人(13%)と246人(16%)。スコア6(死亡)は408人(27%)と407人(27%)だった。

 順序ロジスティック回帰分析を行ったところ、6カ月の時点のOHSスコアは、対照群に比べ介入群の方がより良好な患者が多いことを示した(P<0.001)。共通オッズ比は1.27(1.10-1.47、P=0.001)。

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