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Lancet誌から
スタチンによるLDL-C低下の利益は低リスク者の方が大きい
27件のメタ分析、低リスク者ほどLCL-C低下により相対リスク減少は大きい

 スタチンLDLコレステロールLDL-C)値を下げ、血管イベントを予防する。では、血管疾患リスクが低い人々にスタチンを投与した場合も、同様の利益を得られるのだろうか。

 このほど行われたメタ分析で、血管イベント5年リスクの予測値が10%未満の低リスク者の方が、スタチンによるLDL-Cの低下で得られる血管イベント予防効果は大きいことが明らかになった。論文は、Cholesterol Treatment Trialists' (CTT) Collaboratorsの研究者らによって、Lancet誌電子版に2012年5月17日に報告された。

 著者らは、CTTデータベースに登録されていた無作為化試験の中から、1000人以上の患者を登録し、2年以上にわたって治療を継続していた、などの条件を満たす試験を選出した。スタチン投与群(標準的なレジメン)と対照群を比較した無作為化試験は22件(13万4537人を登録、LDL-C値はベースラインが3.70mmol/L、1年時の両群間の平均差は1.08mmol/L、生存者の追跡期間の中央値は4.8年)、スタチン高用量投与群と低用量投与群を比較した試験が5件(3万9612人を登録、LDL-C値はベースラインが2.53mmol/L、1年時の平均差は0.51mmol/L、生存者の追跡期間の中央値は5.1年)見つかり、それらに参加した患者のデータを用いてメタ分析を行った。

 ベースラインで予測した主要な血管イベントの5年リスクの大きさに基づいて、患者を5群(5年リスクが5%未満、5~10%未満、10~20%未満、20~30%未満、30%以上)に層別化した。評価指標は、主要な血管イベント(主要な冠動脈イベント〔非致死的心筋梗塞または冠動脈疾患死亡〕、脳卒中、または冠動脈血行再建術施行)と、主要な冠動脈イベント、脳卒中、冠動脈血行再建術のそれぞれ、癌、死因特異的死亡に設定。全体について、また各リスクグループについて、介入群と対照群または高用量群と低用量群のLDL-C 1.0mmol/L低下当たりのイベント発生率の比(率比)を求めた。分析にはCox比例ハザードモデルを用いた。全体を要約した率比については95%信頼区間を、5年リスクの予測値に基づいて層別化した各グループについての分析では99%信頼区間を求めた。

 27件の試験の参加者全体を対象に分析したところ、LDL-C値の低下は主要な血管イベントのリスクを低減していた。LDL-C値1.0mmol/L低下当たりの率比は0.79(95%信頼区間0.77-0.81)で、1.0mmol/L低下するごとに21%ずつリスクが下がることが明らかになった。

 相対リスク減少は、予測された5年リスクが低いグループの方が大きくなる傾向を示した。1.0mmol/L低下当たりの率比は、リスクが5%未満のグループが0.62(99%信頼区間0.47-0.81)、5~10%未満群は0.69(0.60-0.79)、10~20%未満群は0.79(0.74-0.85)、20~30%未満群は0.81(0.77-0.86)、30%以上群は0.79(0.74-0.84)(傾向性のP=0.04)だった。この傾向は、年齢(60歳以下、61~70歳、71歳以上)、性別、ベースラインのLDL-C値(3.5mmol/L未満と3.5mmol/L以上)にかかわらず認められた。

 5%未満群と5~10%未満群では、LDL-C値の低下により主要な冠動脈イベントリスク(5%未満群での1.0mmol/L低下当たりの率比は0.57、0.36-0.89、5~10%未満群では0.61、0.50-0.74)、冠動脈血行再建術施行のリスク(それぞれ0.52、0.35-0.75と0.63、0.51-0.79)が大きく低下していた。

 脳卒中については、27件の試験全体で分析すると、1.0mmol/L低下当たりの率比は0.85(95%信頼区間0.80-0.89)で、予測された5年リスクの値にかかわりなく一貫したリスク低減が見られた(傾向性のP=0.3)。なお、脳卒中の中では、虚血性脳卒中のリスク低下は率比0.79(0.74-0.85)と有意な値を示したが、出血性脳卒中では1.15(0.97-1.38)で、リスク低下は認められなかった。

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