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Lancet誌から
小児の脊柱側弯症に、体外から磁石で伸縮可能な脊椎ロッドが有用
外来で安全かつ有効に管理可能、QOLも向上

 小児の脊柱側弯症に対する脊椎固定術で、体外から磁石を当てることにより長さを調整できる新たな脊椎ロッドが安全かつ有効であることを示唆する研究結果を、香港大学のKenneth Man-Chee Cheung氏らが発表した。5人の患者を、埋め込みから最長2年間追跡したところ、機能的な転帰は良好で、痛みもなく、患者の満足度も高かったという。論文は、Lancet誌電子版に2012年4月19日に掲載された。

 脊柱側弯症は放置すると外見を損ない、肺機能の低下を招く。骨格が未熟な小児患者にはしばしば、インプラントを使って側弯を矯正する脊椎固定術が行われる。

 現在、小児患者には主に、成長に合わせて延長が可能な脊椎ロッド(グローイングロッドと呼ばれる)を埋め込む治療が行われているが、延長時には全身麻酔下での侵襲的な処置が必要で、患者は6カ月ごとにこれを受けなければならない。ロッド延長のための手術は費用が高く、患者には社会心理的悪影響を与える。

 著者らは、磁石により体外から伸縮可能なグローイングロッド(Ellipse Technologies社が開発したMagnetically controlled growing rod;MCGR、チタン製のロッドで中央部分に磁石により延長可能な構造を持つ)を用いて固定術を行い、毎月、外来で非侵襲的にロッドを延長する処置を行う治療法の有効性と安全性を評価した。

 香港の1カ所の病院で、09年11月から11年3月まで、引き続き成長が予想される5人の小児患者(女児が3人、男児が2人)にMCGRを埋め込んだ。患者の脊椎に沿って上下2カ所に小さな切開口を作り、通常のペディクルスクリューなどの固定具を上部と下部の椎体に入れ、切開口からロッドを筋膜下に挿入して固定した。ロッドを1本装着するか2本にするかは、患者の身長と医師の判断により決定した。術後3カ月間、患者はブレース(装具)を着用した。

 患者は毎月、外来でロッドの非侵襲的延長処置を受けた。健康な小児の成長曲線に基づいて、月に何mm延長するかを予測し、毎回ロッドを伸ばした。患者が不快感や疼痛を訴えた場合には短めに調整した。処置に要する時間は30秒未満だった。

 延長前後に撮影したX線写真に基づいて脊椎の弯曲(側弯と後弯)の度合い(コブ〔Cobb〕角)を測定し、脊柱の長さを調べた。

 臨床転帰として、VASを用いた疼痛レベル評価、SRS-30(Scoliosis Research Society質問票バージョン30)を用いた機能、活動性、疼痛、自己イメージと外見、精神的な健康状態、治療に関する満足度の評価(それぞれ1~5ポイントで高ポイントほど転帰良好)を行い、治療関連合併症の発生についても観察した。

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