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Lancet誌から
早期の非小細胞肺癌で転帰不良患者の同定が可能に
腫瘍組織の遺伝子発現に基づき5年生存率を予測

 早期の非小細胞肺癌NSCLC)の術後の転帰について、従来から用いられている病期分類よりも正確に転帰不良の患者を同定できるアルゴリズムを、米California大学San Francisco校(UCSF)のJohannes R Kratz氏らが開発した。14個の遺伝子の発現を定量的PCR法で分析し、データをスコア化して5年間の死亡リスクを低、中、高に分類する方法で、詳細は、Lancet誌電子版に2012年1月27日に報告された。

 他の一般的な固形癌に比べ、早期の非小細胞肺癌の術後の転帰は不良で、再発率は35~50%と高い。早期非小細胞肺癌患者に再発が多い理由は、完全切除の際に検出されない転移性病巣が隠れているためと考えられている。ステージII~IIIの患者についてはプラチナ製剤ベースの術後補助療法の利益が示されているが、ステージIA患者への術後補助療法の適用を支持するデータはない。また、ステージIB患者に対する術後補助療法の利益についても明確なデータは得られておらず、議論が続いている。しかし、ステージIであっても、患者の一部は再発し、死亡する。

 同一ステージの患者の予後が様々であることが、術後の管理方針の決定を難しくしていると考えた著者らは、死亡リスクの高い患者を正確に同定する方法の開発に取り組んだ。

 既に、遺伝子発現プロファイルを利用すれば、病期にかかわらず死亡リスクが高い患者を同定できると報告している研究は複数あったが、いずれも小規模で、発現プロファイルの分析には病巣の急速凍結組織とマイクロアレイを用いていた。

 著者らは日常診療に広く用いることができるよう、ホルマリン固定されたパラフィン包埋組織標本を分析対象とし、より安価で再現性が高い、信頼できる生存予測法を開発しようと考えた。

 著者らは、癌に関連する200を超える遺伝子の中から、11個の遺伝子(BAG1、BRCA1、CDC6、CDK2AP1、ERBB3、FUT3、IL11、LCK、RND3、SH3BGR、WNT3A)を選んだ。加えて参照遺伝子3個(ESD、TBP、YAP1)を選び、UCSFの非扁平上皮性非小細胞肺癌患者361人(ステージIからIVまでの患者が混在)を対象として、癌組織におけるこれらの遺伝子の発現を定量的PCR法で調べた。11の癌関連遺伝子の相対的な発現レベルと5年生存の関係を調べて、リスクスコア算出アルゴリズムを作成し、これを用いて5年生存率を予測するスコアを個々の患者で算出した。スコアが低い順に並べて、33パーセンタイルと67パーセンタイルを境に、低リスク、中リスク、高リスクの3群に分けた。

  アルゴリズムの精度の確認には、Kaiser Permanent Northern California病院で手術を受けたステージIの非扁平上皮性非小細胞肺癌患者433人からなるコホートと、中国臨床試験コンソーシアム(CCTC)に属する複数の癌センターで手術を受けたステージI~IIIの非扁平上皮性非小細胞肺癌患者1006人からなるコホートを用いた。

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