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Lancet誌から
血圧の左右差が15mmHg以上あると死亡リスクが上昇
10mmHg以上の差で末梢血管疾患の疑い

 左右の腕で測定した収縮期血圧の差が10mmHg以上あると、無症候性の末梢血管疾患の存在が疑われ、さらなる血管の検査が必要。差が15mmHg以上あると、死亡リスクが上昇する―。そんな知見が、英Exeter大学のChristopher E Clark氏らが行った系統的レビューとメタ分析で得られ、Lancet誌電子版に2012年1月30日に報告された。

 末梢血管疾患はその後の心血管イベントと死亡の危険因子であるため、早期に発見して介入すれば死亡を減らせる可能性がある。しかし、無症候性の末梢血管疾患の発見は難しい。診断には通常、足関節上腕血圧比ABI)が用いられるが、時間がかかる検査で、測定には一定の経験とトレーニングが求められるため、プライマリケアで日常的に行われてはいない。

 そこで著者らは、左右の腕で収縮期血圧を測定し、その差を求める方法がABIの代替になることを示唆する研究に注目。具体的に差がどれだけあれば、無症候性の末梢血管疾患ハイリスク者と見なすべきかを明らかにするために、血圧の左右差と末梢血管疾患、心血管疾患、脳血管疾患、死亡の関係を調べる系統的レビューとメタ分析を実施した。

 Medline、Embase、CINAHL、コクラン、Medline In Processなどのデータベースに11年7月までに登録された研究で、左右の腕の血圧差と、鎖骨下動脈狭窄、末梢血管疾患、脳血管疾患、心血管疾患、死亡に関するデータを報告していたものを選び、ランダム効果モデルを用いてメタ分析した。

 28件の研究がレビューの条件を満たした。うち定量的なデータを報告していた20件をメタ分析の対象にした。多くの研究が、心血管リスクが高い人々を登録していた。

 血管造影を用いた侵襲的な研究5件では、鎖骨下動脈の狭窄(2件で50%超と定義、残り3件では不明)が確認された患者において、狭窄がある腕の収縮期血圧は、もう一方の腕に比べ平均36.9mmHg(95%信頼区間35.4-38.4mmHg)低かった。

 左右の腕の10mmHg以上の差と鎖骨下動脈狭窄の関係は強力だった。2件の研究のデータをプール解析したところ、10mmHg以上の差があるケースに50%超の鎖骨下動脈狭窄が存在する可能性は、血圧差が10mmHg未満のグループの8.8倍になった(リスク比8.8、3.6-21.2)。左右差10mmHg以上を指標とする鎖骨下動脈狭窄同定の感度は65%(35-86%)、特異度は85%(82-88%)だった。

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