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Lancet誌から
性器ヘルペスの治療中も短期的なウイルス排出が発生
治療中のパートナーへの感染の原因か

 性器ヘルペス感染症の原因の1つである単純ヘルペスウイルス2型HSV-2)の感染者では、抗ウイルス薬を高用量投与している期間中も、性器からの短時間のウイルス排出が少なからず発生していることが、米Washington大学のChristine Johnston氏らが行った無作為化クロスオーバー試験で明らかになった。論文は、Lancet誌電子版に2012年1月5日に掲載された。

 HSV-2感染者に対する抗ウイルス薬投与は、性器病変を改善し、症候性の再発を減らし、性器粘膜表面から大量のウイルスが排出されることを抑制する。だが、パートナーへの感染予防という観点から見ると、治療効果は思いのほか低い。

 近年、性器におけるウイルス排出エピソードの発生率は、それまで考えられていたより高いことが明らかになった。再活性化された場合のウイルス排出の継続は、約半数の患者において12時間未満のshort burstと呼ばれる状態を示すこと、こうした短期間のウイルス排出は、最大でも1日1回程度という通常の標本採取方法では検出できないことが示されている。こうしたshort burstに対する抗ウイルス薬の作用は不明だ。抗ウイルス薬の投与がshort burstを抑制できないのであれば、治療中の患者からのHSV-2排出が頻繁に見られても不思議はない。

 そこで著者らは、標準用量と高用量の抗ウイルス薬を用いた治療が、短期間のウイルス排出を減らせるかどうかを調べることにした。Washington大学Virology Research Clinicで、06年11月から10年7月まで、HSV-2血清反応陽性でHIV血清反応は陰性の健康な成人(18歳以上)を登録。トライアル1では症候性患者と無症候性患者の両方を、トライアル2と3では、過去1年に4回以上臨床的な再発を経験した、または過去6カ月間にラボの検査により性器HSV-2感染が確認された患者を登録した。

 いすれもオープンラベルのクロスオーバー研究で、トライアル1は、32人を無治療(16人)または標準用量のアシクロビル(400mgを1日2回、16人)に割り付け、4週間投与。その後、ウォッシュアウト期間として1週間を挟んでクロスオーバーした。

 トライアル2は、31人を登録し、16人を標準用量のバラシクロビル(500mgを1日1回)、15人を高用量のアシクロビル(800mgを1日3回)に割り付けて7週間投与し、1週間のウォッシュアウトを挟んでクロスオーバーした。

 トライアル3は、50人を登録し、22人を標準用量のバラシクロビル、28人を高用量のバラシクロビル(1000mgを1日3回)に割り付けて5週間投与し、1週間のウォッシュアウトを挟んでクロスオーバーした。

 患者には1日4回、4~6時間おきに性器のスワブを採取するよう依頼し、PCRを行ってHSV-2のDNAを定量した。

 いずれのトライアルも、主要エンドポイントはウイルス排出率に設定。治療期間中に採取されたスワブ標本中にHSV-2陽性標本がいくつあったかに基づいて陽性率を算出し、これをウイルス排出率とした。2次評価指標は、排出エピソードの回数、排出エピソードの持続時間、排出エピソード中のウイルスDNA量の最大値などとした。ウイルス排出エピソードは、「2回以上スワブ標本が陰性だった後に1回以上スワブ陽性となり、その後2回以上陰性が続いた場合」を1回とカウントした。分析はper-protocolで行い、原則として比較はトライアル1~3のそれぞれの中で実施した。

 トライアル1~3の全体で、113人を登録。クロスオーバー前と後の標本が得られ、主要エンドポイントに関する分析対象としての条件を満たしたのは90人(年齢の中央値は43歳、女性が54%)だった。血清反応は、56%がHSV-2のみ陽性、43%はHSV-1とHSV-2の両方が陽性だった。感染期間の中央値は7.6年だった。

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