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Lancet誌から
家族性大腸癌家系の人がアスピリン常用で大腸癌罹患が減少
1日600mgを約2年服用した人々を約5年追跡

 大腸癌などの罹患リスクが上昇しているリンチ症候群家族性非ポリポーシス大腸癌HNPCCとも呼ばれる)のキャリアを対象とした二重盲検無作為化試験で、アスピリン600mg/日の2年以上の服用が、その後の大腸癌罹患を有意に減らすことが明らかになった。英Newcastle大学のJohn Burn氏らが、Lancet誌電子版に2011年10月28日に報告した。

 アスピリンの日常的な摂取が大腸癌リスクを減らすことは、いくつかの観察研究のデータで示されている。一方で、無作為化試験では、アスピリンの大腸腺腫リスク低減効果は示されているものの、大腸癌罹患に対する影響の評価は行われていなかった。

 リンチ症候群のような、単一遺伝子の変異によって癌に罹患しやすくなっている患者は、癌の化学予防を目的とする臨床試験の対象として好適だ。予防効果が評価しやすいだけでなく、得られた結果は、そうした患者と同様のメカニズムで発生する散発性の癌に対する予防法の確立にも役立つと期待される。

 そこで著者らは、リンチ症候群の原因となる変異が陽性と判定されたキャリアを対象に、アスピリンと難消化性デンプンの癌予防効果を偽薬と比較する無作為化試験CAPP2を実施した。これは、主要エンドポイントを大腸癌、追跡期間を10年に設定した長期的な研究で、1999年1月から2005年3月までに、世界の43施設で937人を登録した。

 試験は2×2のファクトリアルデザインになっており、患者は、600mgのアスピリンまたはアスピリンの偽薬と、30gの難消化性デンプンまたは難消化性デンプンの偽薬に割り付けられた。既に、29カ月(中央値)の介入終了時点の分析結果が報告されているが、その時点ではアスピリンと難消化性デンプンの両方について介入の有意な効果は示せなかった。

 今回著者らは、アスピリンと偽薬の比較に限定して、さらに長期間追跡した結果を報告した。アスピリン投与に適さない患者を除外したため、アスピリンに割り付けられた患者は427人、偽薬に割り付けられた患者が434人だった。分析時点で、最初に登録された患者は10年間の追跡を終えていた。割り付けからの追跡期間の平均は55.7カ月で、介入期間の平均は、アスピリン群が25.0カ月、偽薬群が25.4カ月だった。

 48人(アスピリン群18人、偽薬群30人)に、53カ所の原発性大腸癌が発見された。リンチ症候群に特徴的といえる、大腸の2カ所に原発性の癌が見付かった患者が5人(アスピリン群1人、偽薬群4人)いた。

 intention-to-treat分析で初回大腸癌罹患までの時間を比較したところ、アスピリン群のハザード比は0.63(95%信頼区間0.35-1.13、P=0.12)となり、有意差は見られなかった。次に、複数カ所の原発性大腸癌発症を考慮してポワソン回帰分析を行ったところ、罹患率比は0.56(0.32-0.99、P=0.05)と有意なリスク低減を示した。

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