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Lancet誌から
妊婦の喘息増悪が呼気NOを指標とする管理で減少

 妊婦喘息管理において、気道炎症の指標である呼気一酸化窒素濃度(fraction of exhaled nitric oxide:FeNO)に基づいて治療を調整するアルゴリズムが増悪抑制に有効であることが、オーストラリアHunter Medical Research InstituteのHeather Powell氏らが行った無作為化試験で明らかになった。論文は、Lancet誌2011年9月10日号に掲載された。

 喘息のある妊婦に増悪が起こると、妊婦と胎児の両方に悪影響が及ぶ可能性がある。一方で、胎児の発育が正常に進むよう、妊婦に対してはできるだけ低用量での喘息管理が望まれている。

 そこで著者らは、喘息のある妊婦を対象に、症状スコアを指標とする管理アルゴリズムと、FeNOと症状スコアの両方を利用するアルゴリズムの増悪抑制効果を比較するため、二重盲検の無作為化試験MAP(Managing Asthma in Pregnancy)を07年6月から10年12月まで実施した。

 オーストラリアの産科クリニック2カ所で、18歳以上で、喘息があり、喫煙者ではない妊婦のうち、妊娠週数が12~20週の女性220人(妊娠週数の平均は16.1週)を登録。妊娠22週より前に、FeNOと喘息管理質問票スコア(ACQスコア)を指標に治療を調整するFeNO群(111人、28.1歳)、または、ACQスコアのみに基づいて治療を調整する対照群(109人、平均年齢28.8歳)のいずれかに割り付けた。ベースラインとその後の受診のたびに臨床症状、FeNO、FEV1、ACQスコアなどのデータを収集し、治療を調整した。

 FeNO群に対する治療の調整方法の概要は以下の通り。まずFeNO値に基づいて吸入ステロイドの用量を調整(29ppb超なら1段階増量、16ppb未満なら1段階減量)し、次にACQスコアに基づいて、症状がある患者にはβ2刺激薬を投与し、用量を調整(スコアが1.5以下なら調整なし、1.5超であれば1段階増量)した。

 基本的には、吸入ステロイドの1段階増量は、ブデソニドの用量を2倍にすること(100μgを1日2回から800μgを1日2回までの範囲内)、1段階減量は、症状があればブデソニドの用量を半減すること(100μgまで、症状がなければ吸入ステロイドは0μgも可)を意味する。β刺激薬の1段階増量は、ホルモテロールの用量を2倍にすること(6μgを1日2回から24μgを1日2回までの範囲内)、1段階減量は、ホルモテロールの用量を半減すること(6μgを1日2回まで、症状がなければホルモテロールは0μgにして、必要に応じてサルブタモールを使用できる)を意味する。

 対照群に対する調整は、以下のように行った。まず、ACQスコアが0.75未満を管理十分、0.75~1.50は不完全だが管理できている状態とし、1.50超は管理不良と定義した。管理十分なら治療を1段階弱める、不完全だが管理できている患者には調整なしとし、管理不良の場合には治療を1段階強めた。治療は、(1)必要に応じてサルブタモール(2)ブデソニド200μgを1日2回(3)ブデソニド400μgを1日2回(4)ブデソニド400μgを1日2回+ホルモテロール12μgを1日2回(5)ブデソニド800μgを1日2回+ホルモテロール24μgを1日2回、の5段階の範囲内とした。

 ベースラインのACQスコアの中央値は0.85で、登録前2年間に経口ステロイドを必要とする増悪を経験した患者は42人(19%)、救急部門を受診した患者は24人(11%)だった。

 割り付けられた治療を受けた期間は、FeNO群が17.8週、対照群が18.8週。FeNO群の100人と対照群の103人が治療を完了した。

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