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Lancet誌から
躁病の急性期治療に有効なのは、リスペリドン、オランザピン、ハロペリドール
有効性・忍容性ともに良好、ネットワークメタ分析の結果

 躁病の急性期治療に利用可能なすべての経口治療薬のうち、有効性と忍容性の両方が良好な薬剤は、リスペリドンオランザピンハロペリドールであることが、イタリアVerona大学のAndrea Cipriani氏らが行ったネットワークメタ分析で分かった。論文は、Lancet誌電子版に2011年8月17日に掲載された。

 著者らは先に、今回と同様の手法を用いて抗うつ薬の順位付けを行っている(関連記事)。
 
 躁病は人口の約1%が経験するといわれており、それらの多くが双極性障害と診断される。複数の躁病治療薬を比較したメタ分析はこれまでに行われているが、一貫した結果は得られていない。急性躁病治療に関するガイドラインも、有効性に基づく治療薬の順位付けをしていなかった。そこで著者らは、躁病の急性期治療に焦点を絞り、複数の治療薬の有効性と忍容性を評価するネットワークメタ分析を行い、使用可能なすべての抗躁薬を比較した(注:わが国では躁病の適応を持たない薬剤も含まれている)。

 Medline、Embase、CINAHL、PsycINFO、コクランセントラルと、各国の監督官庁の臨床試験データベースに1980年1月1日から2010年11月25日までに登録された二重盲検の無作為化試験の中から、成人の躁病患者の急性期(当初3週間)治療におけるアリピプラゾールアセナピンカルバマゼピンバルプロ酸ガバペンチンハロペリドールラモトリギンリチウムオランザピンパリペリドン(リスペリドンの活性代謝物であるため、以降はリスペリドンと合わせて分析した)、クエチアピンリスペリドントピラマートジプラシドン(すべて経口薬)の効果を偽薬または他の抗躁薬と比較していた研究を選出。68件(1万6073人を登録)が条件を満たした。

 主要アウトカム評価指標は、ヤング躁病評価尺度(YMRS)のベースラインからの変化の平均(有効性の指標)と、割り付けられた治療から3週時点で脱落していた患者の割合(忍容性の指標)とし、intention-to-treatで分析した。

 68件中54件は2群間、14件は3群間の比較を行っていた。52件の研究は中等症から重症の入院患者を登録していた。追跡期間の平均は3.4週だった。

 有効性評価の対象になったのは63件の研究に登録された1万5673人で、忍容性評価の対象は65件の研究に登録された1万5626人になった。

 薬剤と偽薬合わせて計14剤からペアを作って比較をする場合、組み合わせは91通りある。実際に直接比較されていたのは33通りのペアで、どの薬剤についても偽薬との直接比較は行われていた。

 偽薬と比較したそれぞれの薬剤の有効性を比較するために、YMRSの変化の標準化平均差(SMD)を求めた。偽薬に比べて有意に有効だったのは、ハロペリドール(SMDは-0.56、95%信頼区間-0.69から-0.43)、リスペリドン(-0.50、-0.63から-0.38)、オランザピン(-0.43、-0.54から-0.32)、リチウム(-0.37、-0.63から-0.11)、クエチアピン(-0.37、-0.51から-0.23)、アリピプラゾール(-0.37、-0.51から-0.23)、カルバマゼピン(-0.36、-0.60から-0.11)、アセナピン(-0.30、-0.53から-0.07)、バルプロ酸(-0.20、-0.37から-0.04)、ジプラシドン(-0.20、-0.37から-0.03)だった。偽薬との間に有意差が見られなかったのは、ガバペンチン(0.32、-0.18から0.82)、ラモトリギン(-0.08、-0034から0.18)、トピラマート(0.07、-0.09から0.24)だった。

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