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Lancet誌から
HbA1cと空腹時血糖の両方の基準を満たす糖尿病前症は糖尿病リスクが5倍
どちらか一方だけを満たす糖尿病前症患者との比較、日本人における研究結果

 糖尿病前症の診断が、HbA1cのみに基づいて下された患者や、空腹時血糖のみに基づいて下された患者に比べ、これら両方の基準を満たす糖尿病前症の患者の糖尿病発症リスクは約5倍程度と高い――。日本人を対象としたこんな研究結果を、筑波大学の平安座依子氏らが、Lancet誌2011年7月9日号に報告した。

 糖尿病前症という診断は、糖尿病発症リスクが高い状態であることを意味し、早期介入の対象になると考えられている。だが、糖尿病前症の複数の診断基準のいずれが、糖尿病への進行の予測において有用なのかは明らかではなかった。著者らは、米国糖尿病学会(ADA)が新たに設定した「HbA1cが5.7~6.4%」を指標として糖尿病前症を診断した場合と、空腹時血糖値異常を指標とした場合、さらにこれらの両方を指標として患者を選んだ場合の糖尿病前症の有病率を比較し、その後の糖尿病発症率を評価するコホート研究TOPICS(the Toranomon Hospital Health Management Center Study)3を行った。

 虎の門病院で定期的に健康診断を受けており、1997~2003年に初回の検診を受けた、糖尿病ではない24~82歳の人々6241人(男性4670人と女性1571人、平均年齢49.9歳)を追跡した。全員が4年間、または5年間にわたって、年1回検診のために来院していた。

 糖尿病は、ADAの定義に基づいて、空腹時血糖が7.0mmol/L(126mg/dL)以上、自己申告された糖尿病診断歴、HbA1cが6.5%以上のケースとした(HbA1cは従来のJDS値に0.4%を加えた国際標準値を用いた)。

 ベースラインで、空腹時血糖値異常(空腹時血糖が5.6~6.9mmol/L=100.4~124.2mg/dL)またはHbA1cが5.7~6.4%、もしくはそれら両方の基準を満たした糖尿病前症患者3群と正常血糖群の計4群を対象に、糖尿病への進行率を毎年調べた。

 6241人中412人(平均年齢54.3歳)が、HbA1c5.7~6.4%という基準に基づいて糖尿病前症と診断された(空腹時血糖値は正常)。1270人(49.9歳)は、空腹時血糖値異常のみによって糖尿病前症と診断されていた(HbA1cは正常)。HbA1cと空腹時血糖値異常の両方の基準が当てはまった患者は410人(53.7歳)だった。残りの4049人(49.2歳)は血糖正常群に分類された。

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