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Lancet誌から
エノキサパリンの自己注射で低リスク肺塞栓症の外来管理が可能に
入院治療と比較した無作為化試験OTPEの結果

 エノキサパリンの在宅注射が可能なら、死亡リスクの低い肺塞栓症患者の治療は外来でも入院と同等に塞栓の再発を抑えることができ、患者の満足度も高いことが、スイスBern大学のDrahomir Aujesky氏らが行った無作為化試験で明らかになった。論文は、Lancet誌2011年7月2日号に掲載された。

 臨床ガイドラインは、血行動態が安定している一部の肺塞栓患者には外来でのケアを推奨している。しかし現実には、ほとんどの患者に入院治療が行われている。また、外来での治療の転帰を入院治療の場合と比較した質の高い研究はなかった。そこで著者らは、入院治療に対する外来治療の非劣性を確認しようと考え、オープンラベルの無作為化非劣性試験OTPEを実施した。

 スイス、フランス、ベルギー、米国の19病院の救急部門で、07年2月から10年6月まで、患者登録を実施した。18歳以上の急性症候性肺塞栓患者の中で、死亡リスクが低いと判断された(予後予測のための肺塞栓症重症度指標を用いたリスク分類でクラスIまたはII)344人を登録、外来治療(172人)または入院治療(172人)に無作為に割り付けた。

 外来治療に割り付けられた患者群には、エノキサパリンの皮下注射(1mg/kgを1日2回)を自分で行えるよう指導して、割り付けから24時間以内に退院させた。自己注射ができない患者については、介護者に注射方法を教える、または注射のための訪問看護を手配する方法で在宅注射を可能にした。入院患者にも同様に、1mg/kgを1日2回投与した。エノキサパリンは、5日以上投与後に2日連続してプロトロンビン時間国際標準比(PT-INR)が2.0以上になった時点で中止するとした。また、どちらのグループにも、経口ビタミンK拮抗薬(ワルファリンなど)の90日以上の服用を指示した。

 主要アウトカム評価指標は、割り付けから90日以内の、客観的に確認された症候性静脈血栓塞栓症(肺塞栓症または深部静脈血栓塞栓症)とし、2次評価指標は、割り付けから14日または90日以内の大出血と、90日以内の全死因死亡に設定した。非劣性は、外来治療群と入院治療群の差が4%を超えない場合とし、片側検定の95%信頼区間の上限が4%を非劣性のマージンに設定した。

 主要エンドポイントの分析対象は、脱落患者3人(外来群1人、入院群2人)と同意を撤回した2人(いずれも入院群)を除く登録患者全員とした。

 受診から割り付けまでに要した時間は、外来群13.9時間、入院群13.3時間で差はなかった(P=0.24)。エノキサパリン使用期間は外来群の方が長かった(外来群11.5日、入院群8.9日、非劣性のP=0.04)。

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