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Lancet誌から
合併症のない急性虫垂炎には抗菌薬より切除術
フランスで行われたオープンラベルの無作為化非劣性試験の結果

 合併症のない急性虫垂炎であれば、抗菌薬で治癒が期待できるのではないか。そう仮定して、フランスParis第11大学のCorinne Vons氏らが、治療開始から30日以内の腹膜炎罹患率を指標に無作為化試験を行ったところ、虫垂切除術に対するアモキシシリン/クラブラン酸配合剤の非劣性を示すことができなかった。論文は、Lancet誌2011年5月7日号に掲載された。

 急性虫垂炎の患者のうち、限局性またはびまん性の腹膜炎につながる合併症を有するのは約20%。8割の患者は腹膜炎につながるような合併症を持たない。現在のところ、合併症のない患者にも緊急虫垂切除術が推奨されているが、無作為化試験4件を含む複数の研究が、合併症なしの急性虫垂炎であれば、抗菌薬投与により治癒が可能であることを示唆している。だが、これまでのところ、質の高い研究はなかった。

 虫垂切除術は忍容性の高い治療だ。それでも2~23%の患者に術後合併症が見られ、術後10年間に癒着により再入院する患者が3%いる。著者らは、抗菌薬が手術の代替手段になれば、急性虫垂炎治療のリスク/ベネフィット比は向上すると考えた。そこで、CT検査により合併症のない急性虫垂炎と診断された患者を対象に、アモキシシリン/クラブラン酸と緊急虫垂切除術の有効性と安全性を比較するオープンラベルの無作為化非劣性試験を行った。

 合併症のない急性虫垂炎と診断された18~68歳の患者を、フランスの6カ所の大学病院で登録。無作為にアモキシシリン/クラブラン酸の合剤(体重が90kg未満なら3g/日、90kg以上なら4g/日)を8~15日間投与、または緊急虫垂切除術(開腹切除か腹腔鏡下切除かは担当医に任せた)に割り付けた。

 抗菌薬群については、48時間以内に症状が改善しない場合にはすみやかに虫垂切除術を実施するとした。抗菌薬により痛みと発熱が消失すれば退院を許可し、自宅で8日目まで抗菌薬を使用するよう指示した。疼痛と発熱が持続する患者についてはCT検査を行い、必要であれば虫垂切除術を実施した。症状がなくても白血球数が高値を示す、またはCRP値が高い患者については、さらに8日間抗菌薬を服用させ、15日目の時点でも検査値に異常が認められた患者には切除術を適用した。

 主要エンドポイントは治療開始から30日以内の腹膜炎の発生とし、非劣性のマージンは、両側検定の95%信頼区間の上限が10パーセンテージポイント未満に設定した。

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