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Lancet誌から
急性冠症候群の冠動脈造影には大腿動脈アクセスより橈骨動脈アクセス
局所の血管合併症が少ない、RIVAL試験の結果

 急性冠症候群の患者に冠動脈造影検査を行う際、大腿動脈からのアプローチと橈骨動脈からのアプローチでは、臨床転帰への影響は異なるのだろうか。この疑問に基づき無作為化試験を行ったカナダMcMaster大学のSanjit S Jolly氏らは、どちらのアプローチを用いても30日時点の死亡や心筋梗塞、脳卒中などを合わせた複合イベントの発生率には差はないが、主要な血管合併症は橈骨動脈アクセスの方が有意に少ないことを明らかにした。論文は、Lancet誌電子版に2011年4月4日に掲載された。

 急性冠症候群の患者に経皮的冠インターベンション(PCI)を行う場合、血管アクセス部位からの出血に注意しなければならない。大出血が起これば、死亡や虚血性イベント再発のリスクが上昇するからだ。橈骨動脈アクセスは、大腿動脈アクセスに比べ圧迫止血がしやすいため、出血を減らせる可能性があり、観察研究では、橈骨動脈アクセスの方が死亡と心筋梗塞が少ないことが示唆されている。また、小規模な臨床試験では、橈骨動脈からのアプローチの方が血管合併症と出血は少ないと報告されている。だが、複数の小規模無作為化試験を対象に行われたメタ分析では、明確な利益が示されなかった。

 そこで著者らは、急性冠症候群で冠動脈造影を受ける患者を対象に、橈骨動脈アクセスが大腿動脈アクセスに優るかどうかを調べるため、多施設無作為化並行群間試験RIVAL(RadIal Vs femorAL access for coronary intervention)を実施した。

 32カ国の158病院で、06年6月6日から10年11月3日までに7021人の患者を登録し、1:1の割合で、橈骨動脈アクセスまたは大腿動脈アクセスのいずれかに割り付けた。

 主要アウトカム評価指標は、「30日以内の死亡、心筋梗塞、脳卒中、冠動脈バイパス術(CABG)関連ではない大出血」を合わせた複合イベントとし、2次評価指標は、「30日以内の死亡、心筋梗塞、または脳卒中」、「CABG関連ではない大出血」、「主要な血管合併症」などに設定して、intention-to-treatで分析した。

 3507人(平均年齢62歳、男性が74.1%、不安定狭心症が44.3%、非ST上昇心筋梗塞が28.5%、ST上昇心筋梗塞が27.2%)が橈骨動脈アクセス、3515人(62歳、72.9%、45.7%、25.8%、28.5%)が大腿動脈アクセスに割り付けられた。いずれも99.8%が冠動脈造影検査を受け、橈骨群の65.9%、大腿群の66.8%がPCIを受けていた。両群共に、PCIを受けた患者の95%にステントが留置された。PCIの成功率は、橈骨群95.4%、大腿群95.2%(P=0.83)だった。

 主要アウトカム評価指標に設定された複合イベントは、橈骨群128人(3.7%)、大腿骨群139人(4.0%)に発生した。ハザード比は0.92(95%信頼区間0.72-1.17、P=0.50)で、有意差は見られなかった。

 2次評価指標の「30日以内の死亡、心筋梗塞、脳卒中」の発生率は、橈骨群112人(3.2%)、大腿群14人(3.2%)で同等だった(ハザード比0.98、0.76-1.28、P=0.90)。30日以内の死亡のハザード比も0.86(0.58-1.29、P=0.47)と有意差なし。CABG関連ではない大出血(多かったのは消化管出血、2番目に多かったのが心タンポナーデ、続いて頭蓋内出血)は24人(0.7%)と33人(0.9%)で、ハザード比は0.73(0.43-1.23、P=0.23)だった。

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