日経メディカルのロゴ画像

Lancet誌から
外傷性脊髄損傷後の自立歩行可能性を推定するシンプルなルール

 外傷性脊髄損傷の患者と家族にとって、再び人手を借りずに歩けるようになるかどうかは極めて重要な問題だ。オランダRadboud 大学のJoost J van Middendrop氏らは、年齢と神経学的検査結果を利用して1年後の自立歩行可能性を推定する臨床予測ルールを作成し、高い精度を持つことを確認した。論文は、Lancet誌2011年3月19日号に掲載された。

 自立歩行の可否に関する予測は、医師が患者と介護者を適切に支援するため、また、患者ごとに最適のリハビリプランを作成するために重要だが、精度の高い予測ルールはこれまでなかった。

 著者らは、成人の外傷性脊髄損傷患者を対象とするコホート研究European Multicenter Study on Human Spinal Cord Injury(EM-SCI)の一部として、01年7月から08年6月まで、欧州の19施設に入院した外傷性脊髄損傷患者から前向きに収集され標準化されたデータを用いて、臨床予測ルールの作成に取り組んだ。

 この研究では、外傷から15日以内と1カ月後、3カ月後、6カ月後、12カ月後に行われた神経学的評価と身体機能の評価の結果が登録されていた。

 著者らは18歳以上の急性外傷性脊髄損傷(脊髄円錐損傷と馬尾損傷を含む)患者全員のデータを入手。末梢神経損傷も有する患者、神経障害または多発性神経障害の患者などは除外した。

 臨床予測ルールに組み込む項目としてデータを抽出したのは、発症時の年齢と、脊髄損傷患者の分類に用いられている国際的な指標(American Spinal Injury Association〔ASIA〕発行のInternational Standards for Neurological Classification of Spinal Cord Injury〔ISNCSCI〕2002年版)に基づいて評価した運動能力(全麻痺=0から 正常=5の5段階で評価)、感覚機能(表在触覚とピン痛覚について、消失=0、異常=1、正常=2の3段階で評価)、肛門括約筋の随意的収縮と肛門周囲の仙椎支配域の知覚(消失=0、維持されている=1の2段階で評価)のスコア。個々の検査スコアは評価時点で測定された値の中で最も良いものを選んだ。

 主要アウトカム評価指標は、外傷から1年後に、脊髄障害自立度評価法(SCIM)を用いて評価した屋内自立歩行能力に設定した。

 SCIMは、屋内で10m未満を移動する能力を以下の9段階に分類する。全面介助が必要=0、電動車椅子が必要、または部分介助を得て手動車椅子を使用=1、手動車椅子があれば介助不要=2、歩行支援機器の要不要にかかわらず見守りが必要=3、歩行補助具または松葉杖を用いて両脚同時歩行可能=4、松葉杖または2本の杖を使って両脚交互歩行可能=5、杖1本で歩行可能=6、下肢装具を着ければ歩行可能=7、自立歩行可能=8。今回は4~8を自立歩行可能とした。

この記事を読んでいる人におすすめ