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Lancet誌から
管理良好な小児の軽症喘息に有効なステップダウン戦略とは?
二重盲検無作為化試験TREXAの結果

 管理が良好な軽症持続型喘息の小児患者において、低用量ステロイドの連日吸入を中止した場合、増悪リスクは高まるのだろうか。この疑問に基づき、二重盲検無作為化試験TREXAを行った米Arizona大学のFernando D Martinez氏らは、吸入ステロイド薬と気管支拡張薬を併用するレスキュー治療のみで対応しても、増悪や治療失敗のリスクが大きく増すことはなく、ステロイドによる成長抑制は避けられる可能性を示した。論文は、Lancet誌2011年2月19日号に掲載された。

 低用量の吸入ステロイド薬の連日吸入は軽症の持続性喘息の小児患者に対する有効な治療法で、ガイドラインはこれを推奨している。しかし、患者の一部は、日常的なコントロールが良好であっても増悪を経験する。一方で、症状がなくなると吸入を中止する患者が少なからず存在する。成長抑制が懸念されるステロイドの連日吸入を行うことなく増悪リスクを低下させられる治療レジメンを求める声は強い。

 著者らは、管理良好な軽症持続型喘息患者に対するステロイド連日吸入を中止すると、増悪リスクが高まるかどうかを評価すること、さらに、吸入ステロイド薬と気管支拡張薬(アルブテロール=サルブタモール)を併用するレスキュー治療と、気管支拡張薬のみを用いるレスキュー治療の増悪リスクに対する影響を調べることを目的に、2×2のファクトリアルデザインの無作為化試験を行った。

 07年1月から09年5月まで、米国内5施設で、軽症持続性喘息歴が2年以上で治療の中断が可能と判断された6~18歳の小児のうち、以下のいずれかの条件を満たす患者を登録した:(1)コントローラー使用歴はなく、過去1年間に1~2回の増悪を経験(入院はなし)、(2)過去8週間は吸入ステロイド薬以外の薬剤を単剤適用されてきた、(3)過去8週間は低用量の吸入ステロイド薬(ベクロメタゾン換算で160μg/日以下)で管理されてきた。なお、以下の条件に該当する患者は除外した:(1)初回受診時の気管支拡張薬投与前の1秒量(FEV1)が予測値の60%未満、(2)過去1年間に喘息での入院歴あり、(3)過去3カ月に1回以上または過去1年間に2回以上の喘息増悪を経験、(4)気管内挿管など必要とする重篤な喘息発作の経験あり。

 843人の患者を登録し、ベクロメタゾンの1日2回吸入+アルブテロールを用いたレスキュー治療を4週間行い、このランイン期間内に増悪のあった患者や管理が不良だった患者を除外して、288人を、以下の4通りの治療のいずれかに無作為に割り付け、44週間投与した:(1)1日2回のベクロメタゾン吸入+レスキュー治療はベクロメタゾンとアルブテロール(併用群、71人、平均年齢11.4歳)、(2)1日2回のベクロメタゾン吸入+レスキュー治療は偽薬とアルブテロール(連日ベクロメタゾン群、72人、10.8歳)、(3)1日2回の偽薬吸入+レスキュー治療はベクロメタゾンとアルブテロール(レスキューベクロメタゾン群、71人、10.4歳)、(4)1日2回の偽薬吸入+レスキュー治療は偽薬とアルブテロール(偽薬群=ステロイドの投与なし、74人、10.4歳)。

 1日2回の吸入は、朝夕にベクロメタゾン1パフ(40μg)とした。レスキューベクロメタゾン群には、ベクロメタゾンまたは偽薬を2パフに加えてアルブテロール2パフ(180μg×2)を吸入するよう指示した。

 主要アウトカム評価指標は、ステロイドの経口投与が必要な増悪を経験するまでの時間、2次評価指標は身長の伸びに設定し、intention-to-treat分析した。

 増悪の定義は、アルブテロールを24時間以内に12パフ以上使用、アルブテロール使用前の最大呼気流量(PEF)が参照値の70%未満、症状が重く2日以上続けて眠れないか日常の活動ができない、レスキュー治療を行ってもPEFが参照値の50%未満、症状が悪化して救急部門を受診、などとした。

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