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Lancet誌から
急性脳卒中へのカンデサルタン投与に利益なし
SCAST試験の結果

 急性脳卒中の患者の多くに見られる血圧上昇は、短期的、長期的な転帰不良に関係している。ノルウェーOslo大学病院のElse Chariotte Sandset氏らは、急性脳卒中患者にアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)のカンデサルタンを投与して注意深く血圧を下げる治療が患者に利益をもたらすかどうかを調べるため、二重盲検の無作為化試験SCASTを実施した。得られたデータは、予想に反し、カンデサルタンによる利益を示さず、逆に、偽薬群との比較で転帰不良傾向を示唆した。論文は、Lancet誌電子版に2011年2月11日に掲載された。

 著者らは、05年6月5日から10年2月25日まで、欧州9カ国(ベルギー、デンマーク、エストニア、フィンランド、ドイツ、リトアニア、ノルウェー、ポーランド、スウェーデン)の146施設で患者登録を実施した。急性脳卒中(虚血性または出血性)で、収縮期血圧が140mmHg以上、症状発現から30時間以内の18歳以上の患者2029人を登録、無作為にカンデサルタン(1017人、平均年齢70.8歳、女性は40%)または偽薬(1012人、71.0歳、44%)に割り付け、7日間投与した。

 カンデサルタンの用量は1日目が4mg、2日目は8mg、3日目以降は16mgとした。拡張期血圧が120mmHg未満になった場合、または臨床的な必要性が明らかな場合には用量を調整した。ARB以外の治療薬の投与については研究者の判断に任せた。

 主要評価指標は、6カ月以内の血管疾患死亡、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中を合わせた複合イベントと、6カ月の時点で修正Rankinスコアを用いて評価した機能アウトカムに設定。分析はintention-to-treatで行った。

 登録時の血圧の平均値は171/90mmHだった。1733人(85%)が虚血性脳卒中、274人(14%)が出血性脳卒中、残りの20人(1%)は脳卒中ではなく(うち13人は一過性脳虚血発作)、2人については診断不明だった。登録時のSSS(Scandinavian Stroke Scale、0は神経学的障害が最も深刻、58は神経学的障害なし)スコアは41だった。

 治療中の血圧は、カンデサルタン群で有意に低かった。7日時点の平均血圧はカンデサルタン群が147/82mmHg、偽薬群が152/84mmHg(P<0.0001)。6カ月の時点で測定された血圧は両群共に143/81mmHgだった。

 6カ月の追跡で、複合イベントはカンデサルタン群に120件、偽薬群に111件発生していた。年齢、脳卒中の種類(虚血性かその他か)、収縮期血圧、SSSスコアで調整したハザード比は1.09(95%信頼区間0.84-1.41)で有意差なし(P=0.52)。per-protocol分析も行ったが、調整ハザード比は1.11(0.85-1.46、P=0.46)でやはり有意差は見られなかった。

 6カ月時の修正Rankinスケールを用いた評価では、0(全く症状なし)から6(死亡)までの各カテゴリーに分類される患者の割合を比較したところ、カンデサルタン群の方が転帰不良であることが示唆された。順序付きカテゴリ変数を目的変数とする順序回帰分析の調整共通オッズ比は1.17(1.00-1.38、P=0.048、Hochberg法による多重比較であるためP≦0.025の場合に差は有意となる。したがってこの場合の差は非有意)。per-protocol分析でも1.19(1.02-1.41、P=0.032)だった。

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