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Lancet誌から
スタチンのイベント抑制効果はCRP値にかかわらず一定

 スタチンは、ベースラインのCRP値やLDL-コレステロール(LDL-c)値にかかわらず同レベルのリスク低減をもたらすことを、Heart Protection Study Collaborative Groupの研究者たちが明らかにした。

 これまで、スタチンの血管イベントリスク低減効果は、CRPが上昇している患者においてより大きいのではないか、また、CRPとLDL-cの両方が低い患者ではスタチンの利益は小さいのではないかと考えられてきた。Lancet誌2011年2月5日号に掲載された今回の論文は、いずれの仮説も否定している。

 炎症は冠疾患の発生と進行に役割を果たすと考えられている。炎症のマーカーとして最も研究が進んでいるのがCRPで、CRP値と冠疾患、虚血性脳卒中、血管死亡、非血管死亡のリスクの関係が示されている。ゆえに、CRP値によって示される炎症の存在や程度とスタチン治療の有効性の間に有意な関係があるのではないかと考えられてきた。

 著者らは今回、Heart Protection Study(HPS)に登録された患者を対象にCRP値とスタチン治療の利益の関係を評価した。

 HPSは、英国の69病院で、1994~97年に、血管イベントリスクが高い40~80歳の男女2万536人を登録していた。冠疾患、冠動脈以外の閉塞、1型または2型糖尿病のいずれかの診断を受けている、または65歳以上の男性で高血圧に対する薬物治療を受けていることを組み込み条件とした。

 ランイン期間を経て、服薬遵守率が高くスタチン使用による有害事象が認められなかった人々を、無作為にシンバスタチン40mg/日または偽薬に割り付け、平均5.0年投与した。

 主要エンドポイントは、冠疾患死亡、非致死的心筋梗塞、脳卒中死亡、非致死的脳卒中、血行再建術施行を合わせた主要な血管イベントに設定、分析はintention-to-treatで実施した。

 エンドポイントにかかわるデータの追跡を完了できたのは2万469人(99.7%)だった。

 ベースラインのCRP値で登録患者を6集団に層別化した:CRPが1.25mg/L未満(3397人)、1.25~1.99mg/L(2729人)、2.00~2.99mg/L(2943人)、3.00~4.99mg/L(3766人)、5.00~7.99mg/L(2562人)、8.00mg/L以上(3048人)。ベースラインで測定値が記録されていなかった患者が2091人いた。

 データがそろっていた2727人からなるサブセットを対象に、CRP値で層別化したスタチン群と偽薬群の患者のLDL-c値について、ベースラインに比べ追跡終了時にどれだけ低下していたかを調べ、両群間の低下幅の絶対差を求めた。

 まず、2727人全体では、スタチン群のLDL-c値の低下は、偽薬群に比べて0.85mmol/L大きかった。CRP値で層別化したグループで見ると、スタチン群におけるLDL-c低下は、偽薬群に比べて、CRPが1.25mg/L未満群では0.87mmol/L、1.25~1.99mg/L群は0.77mmol/L、2.00~2.99mg/L群は0.88mmol/L、3.00~4.99mg/L群は0.87mmol/L、5.00~7.99mg/L群は0.79mmol/L、8.00mg/L以上群は0.91mmol/L大きかった。このように、ベースラインのCRPレベルにかかわらずLDL-c値の低下は同等だった。

 反対に、ベースラインのLDL-c値で患者を層別化し、ベースラインから試験終了時までのCRP値の変化を比較したが、やはりベースラインのLDL-c値にかかわらずスタチン投与群におけるCRP値低下は同等に認められた。

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