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Lancet誌から
院外心停止者へのACD-CPRは標準CPRよりも有効
神経学的転帰や1年生存率が向上

 標準的な心肺蘇生法として用いられている用手的胸骨圧迫では、十分な平均血圧を得られない。より多くの心停止者を社会復帰できるレベルまで回復させるためには、心肺蘇生時の血行動態をさらに向上させて脳の血流量を増やす必要がある。米Wisconsin医科大学のTom P Aufderheide氏らは、能動的に加圧と減圧を繰り返す心肺蘇生(Active Compression-Decompression CPR; ACD-CPR)にインピーダンス閾値弁装置(ITD)を併用すれば、神経学的転帰良好な状態で退院できる患者の割合が増え、90日生存率、1年生存率も上昇することを多施設無作為化試験によって明らかにした。論文は、Lancet誌2011年1月22日号に掲載された。

 ACD-CPRは、患者の胸にバキュームカップを取り付け、ハンドルをつかみ、信号音に合わせて体重移動を利用した押し下げ(加圧)と引き上げ(減圧)を80回/分の速度で繰り返す心肺蘇生法で、カーディオポンプと呼ばれるデバイスが用いられる。

 ITDは、肺への空気の流入を制限するバルブで、蘇生時に患者の口に当てる。胸腔内が陰圧になったときに気道を遮断し、より有効に心臓に陰圧をかけて静脈灌流量を増やす仕組みになっている。

 ITDとACD-CPRを併用すると、通常のCPRを行った場合に比べて脳血流量が3倍近くまで増加するという報告がある。著者らは、院外心停止者を対象にこの組み合わせの安全性と有効性を標準的なCPRと比較する無作為化試験を実施した。

 米国の都市部、都市近郊地域、農村部の救急医療機関46カ所で、非外傷性で心原性と見なされる18歳以上の心停止者を登録、標準的なCPR、またはカーディオポンプ(Advanced Circulatory Systems社のResQPump)とITD(同社のResQPOD)を用いる介入的CPRに1対1で割り付けた。救急隊員により割り付けられた蘇生を1分以上受けた患者を分析対象とした。心肺蘇生を行った救急隊員以外の関係者はすべて盲検化された。

 主要エンドポイントは、神経学的転帰良好(modified Rankin Scaleのスコアが3以下)での退院とし、intention-to-treat分析を行った。

 06年3月から09年7月までに2470人を登録し、1201人を標準CPR、1269人を介入CPRに割り付けた。分析対象としての条件を満たしたのはそれらのうちの1653人で、標準CPR群が813人(68%)、介入CPR群は840人(66%)だった。

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