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Lancet誌から
LDL-cが1mmol/L下がるごとに血管イベントは20%減少
スタチンの用量や当初のLDL-c値によらず同じ結果

 LDL-コレステロール(LDL-c)は下げられるだけ下げた方が利益が大きくなるのか。有害事象は増えないのか。この疑問に答えるメタ分析の結果と、過去最大規模の無作為化試験のデータが、それぞれLancet誌2010年11月13日号に報告された。結論は、スタチンの用量やベースラインのLDL-c値にかかわらず、LDL-c値が1mmol/L低下するごとに主要な血管イベントが約20%減少することを示した。

 スタチンを用いたLDL-c降下療法は、幅広い患者の閉塞性血管イベントリスクを低減する。Cholesterol Treatment Trialists' (CTT) Collaborationの研究者たちは、より強力なスタチン療法、すなわち、より高用量の従来型スタチンまたはより新しいスタチンを使用する強化スタチン療法(たとえば、シンバスタチン20~40mgを標準とすると、アトルバスタチン40~80mgまたはロスバスタチン10~20mgが強化治療に相当する)の安全性と有効性を調べるため、無作為化試験を対象とするメタ分析を行った。このメタ分析のもう1つの目的は、LDL-c値の1mmol/L低下当たりの利益は、ベースラインのLDL-c値や選択されたレジメンによって異なるのかどうかを知ることだった。

 09年末までに報告されたすべての研究の中から、1000人以上の患者を登録し2年以上治療を継続した無作為化試験で、患者を強化スタチン療法または通常スタチン療法に割り付けていた5件(3万9612人を登録、追跡期間の中央値は5.1年)と、スタチン投与と非投与(偽薬、治療なし、標準治療など)に割り付けていた試験21件(12万9526人を登録、追跡期間の中央値は4.8年)を選出した。個々の登録者について、主要な冠イベント(冠疾患死亡または非致死的心筋梗塞)/冠動脈血行再建術/脳卒中からなる主要な血管イベントと、死因別死亡率や癌罹患などの発生率に関する情報を抽出し、メタ分析を行った。

 強化スタチン群と標準スタチン群を比較した5件の研究では、ベースラインのLDL-c値の加重平均は2.53mmol/Lだった。1年時には、強化群のLDL-c低下は標準群に比べて0.51mmol/L大きかった。

 主要な血管イベントリスクは、標準群に比べ強化群で15%低かった(リスク比0.85、95%信頼区間0.82-0.89、P<0.0001)。心血管死亡または非致死的心筋梗塞のリスクは13%(0.87、0.81-0.93、P<0.0001)低く、冠動脈血行再建術は19%(0.81、0.76-0.85、P<0.0001)、虚血性脳卒中は16%(0.84、0.71-0.99、P=0.005)少なかった。

 以上のリスク比を1年間にLDL-c 1mmol/L低下当たりに換算すると、主要な血管イベントのリスク比は0.72(0.66-0.78)、心血管死亡または非致死的心筋梗塞は0.74(0.65-0.85)、冠動脈血行再建術は0. 66(0.60-0.73)、虚血性脳卒中は0.69(0.50-0.95)となった。

 一方、スタチン投与群と非投与群を比較していた21件の研究では、べースラインのLDL-c値は3.70mmol/L、1年時には非投与群に比べ投与群のLDL-c低下が1.07mmol/L大きかった。

 上記と同様に、投与群と非投与群のイベント発生のリスク比を1mmol/L 低下当たりで示すと、主要な心血管イベントのリスク比は0.79(0.77-0.81)、心血管死亡または非致死的心筋梗塞では0.76(0.73-0.79)、冠動脈血行再建術は0.76(0.73-0.80)、虚血性脳卒中は0.80(0.73-0.88)となり、強化群と標準群を比較した場合とほぼ同様の結果となった。

 両方の試験の登録者を合わせて主要な心血管イベントのリスク比を求めたところ、1mmol/L 低下当たり0.78(0.76-0.80、P<0.0001)になった。続いてサブグループ分析を行ったが、1.0mmol/L低下当たりの主要な血管イベントリスク低減はどのグループの患者にも同様に見られた。患者をベースラインのLDL-c値で層別化しても結果に変化はなく、登録時に2mmol/L未満だった患者においても、また非投与群に割り付けられた患者であっても、1mmol/L低下当たりの利益は、ベースラインでLDL-c高値だった患者とまったく同様に認められた。

 26件の試験の登録者すべてを分析対象とすると、全死因死亡は1.0mmol/L低下当たり10%低下(リスク比0.90、0.87-0.93、P<0.0001)することが明らかになった。主に、冠疾患死亡(リスク比0.80、0.74-0.87、P<0.0001)と他の心疾患による死亡(0.89、0.81-0.98、P=0.002)の減少に由来するリスク低下だった。

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