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Lancet誌から
低用量アスピリン長期使用も大腸癌リスクを低減

 75mg/日以上のアスピリンを複数年服用すると、大腸癌罹患と大腸癌死亡のリスクが有意に低下すること、特に近位結腸癌リスクの低下が大きいことを示唆する結果が、過去に行われた無作為化試験の長期追跡結果の分析により得られた。英Oxford大学のPeter M. Rothwell氏らが、Lancet誌2010年10月22日号に報告した。

 これまでに、2件の大規模研究によって、高用量アスピリン(500mg/日以上)が長期的な大腸癌罹患率を低減することが示されている。だが、出血リスクの上昇が懸念されるため、予防薬としての長期使用は難しいと考えられる。一方、低用量アスピリン(75~300mg/日)の長期的な利益は明らかではない。大出血のリスクはアスピリンの用量に依存して上昇するが、大腸癌予防効果も用量依存的に現れるのかどうかは明らかではなかった。

 そこで著者らは、アスピリンが大腸癌の罹患率と死亡率に及ぼす影響を、腫瘍の部位、治療期間、用量との関係に注目して分析した。

 主な分析対象は、介入群にアスピリンを投与し、対照群には偽薬または投与なしを適用した以下の4件の無作為化試験に登録された人々だ:血管イベントの1次予防におけるアスピリンの有効性を評価したThrombosis Prevention Trial、British Doctors Aspirin Trial、2次予防に用いたSwedish Aspirin Low Dose Trial、UK-TIA Aspirin Trial。個々の患者のデータをプールし、試験期間中と追跡期間を合わせた20年間の大腸癌リスクに対するアスピリンの影響を分析した。

 4件の試験は、75mg/日、300mg/日、500mg/日、1200mg/日のいずれかの用量のアスピリンを平均6.0年投与する設計になっていた。著者らによる試験終了後の追跡を加えた中央値18.3年の追跡中に、計1万4033人のうち391人(2.8%)に大腸癌が見付かった。

 アスピリンは結腸癌罹患の20年リスクを低減していた(ハザード比0.76、0.60-0.96、P=0.02)。結腸癌死亡の20年リスクも有意に低かった(ハザード比0.65、0.48-0.88、P=0.005)。

 直腸癌リスクには有意な影響は見られなかった。罹患のハザード比は0.90(0.63-1.30、P=0.58)、死亡のハザード比は0.80(0.50-1.28、P=0.35)。

 癌の部位に関する詳しい情報が得られた患者について分析したところ、アスピリンは近位結腸癌のリスクを低減(罹患のハザード比は0.45、0.28-0.74、P=0.001、死亡のハザード比は0.34、0.18-0.66、P=0.001)していたが、遠位結腸癌リスクには有意な影響を及ぼしていなかった(罹患のハザード比は1.10、0.73-1.64、P=0.66、死亡のハザード比は1.21、0.66-2.24、P=0.54)。

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