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Lancet誌から
出血外傷患者の死亡リスクがトラネキサム酸で低下
約2万人を対象とした無作為化試験の結果(2011.4.12訂正)

  出血している、または出血リスクの高い外傷患者にトラネキサム酸を投与すると、院内死亡と出血による死亡のリスクが有意に減少することが、世界40カ国で行われた無作為試験CRASH-2で明らかになった。論文は、Lancet誌2010年6月17日号に掲載された。

 外傷患者の院内死亡例の約3分の1は出血によるもので、多臓器不全による死亡にも出血が関係する。トラネキサム酸は、待機的手術を受ける患者の出血を減らすことが既にメタ分析によって示されているが、外傷患者に対する安全性と有効性を調べた無作為化試験は行われていなかった。

 そこで著者らは、外傷患者に対する早期の短期的なトラネキサム酸投与が、死亡、血管の閉塞性イベント、輸血の必要性などに及ぼす影響を調べようと、二重盲検の無作為化比較試験CRASH-2を実施した。

 40カ国の274施設で、外傷発生から8時間以内、相当量の出血がある(収縮期血圧が90mmHg未満または心拍数が110/分超、もしくはこれら両方)、または大出血のリスクがあると見なされた成人患者2万211人を登録。無作為にトラネキサム酸(最初に1gを10分で投与し、続いて1gを8時間かけて注入、1万96人)または偽薬(1万115人)に割り付けた。

 主要アウトカム評価指標は、外傷から4週以内の院内死亡、2次評価指標は閉塞性の血管疾患、輸血などに設定し、intention-to-treatで分析した。

 アウトカム評価指標に関する情報が得られたのは、介入群の1万60人と対照群の1万67人だった。

 全死因死亡は3076人(15.3%)で、うち1086人(35.3%)は割り付け日に死亡していた。

 トラネキサム酸は全死因死亡を有意に減らしていた。全死因死亡は、介入群1463人(14.5%)、対照群1613人(16.0%)で、相対リスクは0.91(95%信頼区間0.85-0.97、P=0.0035)。

 死亡患者を死因に基づいて分類し、トラネキサム酸の影響を評価した。

 出血による死亡は介入群で少なかった。489人(4.9%)と574人(5.7%)で、相対リスクは0.85(0.76-0.96、P=0.0077)。出血による割り付け日の死亡は、介入群が282人(2.8%)、対照群が355人(3.5%)で、相対リスク0.80(0.68-0.93、P=0.0036)。

 閉塞性の血管疾患(心筋梗塞、脳卒中、肺塞栓)による死亡は、介入群33人(0.3%)、対照群48人(0.5%)。相対リスクは0.69(0.44-1.07、P=0.096)で、減少傾向は見られたが差は有意にならなかった。内訳は心筋梗塞死亡がそれぞれ7人と22人、脳卒中死亡は8人と5人、肺塞栓による死亡は18人と21人だった。

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